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スピーダートロッコ・スターターセット【#エア軽便祭2020モデラー】 Speeder Train Starter Set Created with a Laser Cutting Printer [O-16.5mm (On30, O16.5)]

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模型製作でのカッティング作業には早くからドローイングソフト(CanvasX)の紙プリントをテンプレートとして活用してきましたが、近年に登場したカッティングマシーン、レーザーカッター、3Dプリンタには挑戦していませんでした。作品のデータは山ほどドローイングソフトでデジタル化されているので、これを活用しないのはもったいないと思いつつ触る機会がありませんでした。昨年の転居後の街歩きで近くに行政が支援するデジタルファブリケーションのレンタル工房があるのを知り、さっそく説明会に出席しました。まずはここでレーザーカットを体験しようと決意したのですが、なかなか作る作品の構想が煮詰まらないまま半年が過ぎてしまいました。ここは思い切って貸し切りの予約をいれて、それに合わせて作品の設計をすることにしました。そして出来上がったのが今回の作品です。
 
スピーダートロッコ・スターターセットと題した作品はO-16.5㎜(On30)で小さなモーターカーの編成に、小半径のエンドレス線路、それにストラクチャーまでセットにした、これでトロッコが始められる入門セットという形になっています。レーザーカット入門にあわせたわけです
 
【組線路 150mm Radius Track Set】
レーザーカットでやってみたかったことの一つが線路の製作です。ご存知にように9ミリゲージではNスケール用の小半径の組線路が充実しており、机上でのちょっとした走行に便利なのですが16.5ミリゲージでは小半径の組線路は見当たりません。曲線組線路では最小で半径250㎜のものをRocoやFleischmannが提供していましたが、それすら最近は見かけません。そこでMDFを使って半径150㎜の固定線路をつくってみることにしました。
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これはレーザーカッターの出力調整に失敗して抜けなかったものですが、1セットのパターンで裏側になります。図面はずっと利用しているCanvasXで作成し、これをepsファイルに変換し、工房のAdobe Illustrator(イラレ)に読み込ませます。工房のイラレにはレーザーカッターのドライバーが組み込まれているのですが、イラレを使った経験がなかったので、ファイルの変換作業に手間取りました。彫刻(面積のある掘り込み)、マーキング(線の刻み)、切断を色分けで指定するのですが、元の図面で線が重なり合ったりすることもあるので、何度も図面を修正しました。MDFは2.5㎜厚を使っています。ちょうどPECOのOナロー用と同じ高さになります。レールはPECOの100番を使いました。以前に作ったレールベンダーが見当たらないのでカーブレールは手で曲げて整えました。
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スパイクをどうするかですが、釘形状のものは使えないので、裏側から帯材をU字型に差し込んでレールを抑え込みで止める方式にしました。裏側から止めるので帯材が隠れるように枕木を掘り込む必要があります。つまりレーザー加工としては枕木の裏面が表になるわけです。スパイクの役割を果たす帯材は0.2ミリx1.5ミリの真鍮板で枕木二つ分をあけて3本目ごとに止めましたが、十分機能しています。ただし、帯材の固定は手間のかかる作業でした。半径150ミリ曲線路は角度90度の4本で円を構成していますが、接続部分は5ミリほど直線で延長しています。また直線も用意しました。一か所は裏側からフィーダー線をはんだ付けできるように彫り込んでいますが、とりあえずジョイナーから給電しています。焦げ目による色の変化も味わいがあるので未塗装で使うことにします。
 
【事務所小屋 Lineside Office】
ストラクチャーはレーザーカットでの製作に一番向いた題材です。米国製キットのようにバスウッドの利用も考えてみましたが、手に入りにくく値段もするので、まずは紙を利用することにしました。紙は両面が白いボール紙で、壁面は厚さ1ミリのニューマット紙、窓枠類は厚さ0.6ミリの板目表紙と呼ばれるものを使いました。板目表紙は100円ショップで、見つけました。手持ちの窓枠図面を利用して、和式の事務所小屋をつくることにしました。
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下見板風ですが、筋入れだけで表現しています。手作業で面倒なのは和式の桟が多い窓類の切込みですが、レーザーカットが得意とするところです。組立後はグレーのサーフェイサーを吹き、そのあとは手っ取り早く、壁はウッドブラウン、屋根はミディアムグレーを軽めにスプレーし、ウェザリングをしました。線路際にありそうな何にでも使える建物です。
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【スピーダーの編成 Speeder Train】
 
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動力車は米国で保線用に用いられるモーターカー、Fairmont Speederをモチーフに切妻型のオープン車輛を作ってみました。動力はアルパワーHO-24.5Bがすっぽりと入る構成になっています。
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車体は同様に1ミリ厚のニューマット紙を主に使っています。
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中央にエンジンがあり、両脇に座席を備えた形です。輪芯の形状はちょっと大げさですが、動きが楽しめるように強調してみました。レバー類も作ってみました。
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側板が外れる無蓋トロッコはアルモデルの平型トロッコ木製タイプを足回りに使いました。
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作業員車兼遊覧客車は背中合わせ座席のオープン型と対面の2形式を過去の図面をアレンジしてつくりました。下回りは平型トロッコ鋼製タイプを使うことにしました。
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これが編成です。使用した1ミリ厚のニューマット紙は、表面が多少毛羽立っています。つるつるした素材を選ぶほうが良いのかもしれませんが、木製の感じとしては悪くないです。
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組線路での走行は順調です。
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次は塗装です。グレーのサーフェイサーをスプレーしたあと、スピーダーはタミヤアクリルのフラットイエロー、無蓋車は水性ホビーカラー黄緑系の機体内部色、人車は水性ホビーカラーのあずき色をエアブラシしました。
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スピーダーが完成しました。
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屋根の中央には孔があけてあり、細身のドライバーで動力が外せるようにしています。
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無蓋車です。
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2形式の人車です。次回はもう少し装飾のある車輛をつくってみたいです。
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基板への固定から開放されて、150ミリカーブの組線路運転が実現しました。
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こうして小さな卓上に組線路を置き、ストラクチャーを置いてスピーダートロッコの編成を楽しむスターターセットができあがりました。人形を載せると雰囲気がでます。レーザーカットの手はじめとしては満足できるものとなりました。


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