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HO組線路の半径 [model railway]

 産業用のナローゲージで使っている16.5ミリゲージの線路の曲線半径は150㎜から250㎜までと小さいので頼るのはほとんどフレキシブルトラックです.ただし大き目のOナローやたまに取り出すHOスケール車輛の走行には組線路が欠かせません.
 いろいろと使っているうちに半径の小さい16.5ミリゲージの組線路をいくつか抱えることになりました.この際整理を兼ねて手持ちの組線路を調べてみました.併せてどれだけ狭いスペースで走行が可能かということを考えてみました.なおユニトラック(code 83)を除いてレールの高さはcode 100(2.54㎜)のものを対象にしています.
 
 まず手持ちの組線路の半径比較です
PA180717.JPG 
▲上から
ATLAS 18インチ(456㎜)R
篠原 16インチ(406㎜)R 
ATLAS(Oナロー用に枕木間引きしています) 15インチ(381㎜)R
フライシュマン 356.5㎜R
ロコ250㎜R
PA180716.JPG 
▲こちらはKATOのユニトラックで上は枕木が分離している旧製品の550㎜R,下が490Rです.
 
手持ちとカタログの確認で主要メーカーの半径を小さい順にならべてみました:
【250㎜】
 Rocoとフライシュマンが出しています.Roco のカタログで知ったのですが,日本で入手できず,かなり前にドイツで買いました.またフライシュマンは道床なしの線路にありますが現在輸入されているバラスト付きPROFIシリーズにはありません.大変重宝する組線路ですが普通の車輛の走行には急すぎて対応できません.
【356.5㎜】
 フライシュマンのバラスト付きPROFIシリーズの最小半径で,基本セットに使われています.メルクリンの最小半径もほぼ同じで欧州の基本サイズです.
【370㎜】
 KATOのHOユニトラックの最小半径として発売されています.PECO Setrackの最小半径はほぼ同じ14-5/8インチ(371㎜)です.
【15インチ(381㎜)】
 ATLAS,バックマンが最小半径として用意しているものでセット物に含まれる18インチの内側にセットされるサイズです.奥行90㎝のテーブルに乗るサイズで,良く利用しています.
【16インチ(406㎜)】
 シノハラの最小半径となるサイズです.
【17-1/4インチ(438㎜)】
 PECO Setrackが入門パックに設定しているサイズです.
【18インチ(456㎜】
 ATLAS,バックマンがセット物として供給している基本サイズで同半径の分岐あり.
【490㎜】
 KATOのHOユニトラックで.プランセットで使われていています.同半径の分岐あり.
【550㎜】
 これもKATOのHOユニトラックのサイズ.円周のセット物として出している中の最小なので日本型の最小標準か.
これ以上半径の大きいものは省略します.
 
では次に組線路を使った基本プランを調べてみました.
PA080706.JPG 
▲KATOのユニトラックマスターセットです.これはModel Railroader誌が入門用としてキャンペーンを張ったプランでバックマンからも同様のセットがあります.このセットでは半径490㎜の曲線と同じ半径の分岐線路が使われています.待避線と側線が最小限備わったこのプランは120㎝x240㎝に収まります.4x8フィート,つまり米国の定尺板のサイズですから対米輸出仕様ということになります.
 一方でKATOが長円の基本セットとして販売している線路の最小半径はこれより大きい550㎜なのです.日本型の走行には米国型より大きい半径が必要だということでしょう.ちなみにエンドウの組線路の最小半径はさらに大きい600㎜です.
PA080707.JPG 
▲これはATLASのプラン集にある待避線と側線のある最小プランです.曲線と分岐線路の半径は18インチ(456㎜)です.そして4x6フィート(120x180㎝)に収まっています.ATLASもバックマンも一回り小さい15インチが用意されていますが,基準は18インチで,これだと米国の定尺板の奥行120cmに収まるからだと思います.
PA060703.JPG 
▲こちらはフライシュマンの線路を使って待避線と側線を組んだ例です.緑の板は日頃利用している90x120㎝のサイズで上のATLASのプランの半分です.奥行は日本の定尺サイズですね.フライシュマンの半径は356.5㎜なのでこの奥行で楽に収まりますが,120㎝の幅では通常の分岐線路では側線を確保することは無理です.それを見事に解決しているのがカーブ分岐線路です.
PA080709.JPG 
▲これはKIBRIの100x150㎝レイアウトボード用のプランで,カーブ分岐のおかげで狭いスペースにこれだけ押し込まれています.(上にちょっと見えているのがメルクリン用でほぼ同じ)
PA060705.JPG 
▲万能のように思われたカーブ分岐ですが,残念ながら無電区間が39㎜あります.これでは軸距の短い2軸車輛は通電が確保できません.あまり利用していない理由がここにあります.
 
以上のことからざっとこんなことが言えると思います.
 
●欧州の車輛は低床なので模型化するときに台車の回転は限定されて,狭い室内で走らせることは難しい.そこでエンドビームの台車マウントや客車のショーティー化で模型としてのアレンジを徹底して半径360㎜のテーブルサイズでの走行を可能にした. 
 
●米国はべニア板の定尺が1.2 x 2.4mなので,この大きさをレイアウトの最小スペースとして半径18インチ(456㎜)の走行を量産モデルの基本にしてきた.
 
●日本では車輛模型を極端な急カーブに対応させるまでもなく,畳部屋をフラットにまたいで使うお座敷運転というマジックがあった(笑).だから他国より半径は大きくとって実感を重視できた.つまりシーナリーとか言わなければ在来の日本家屋は一番広さに恵まれていたということでしょう.
 
しかし今やソファやベッドを使う生活となり,レイアウトもテーブルトップで展開するしかできません.
 
Nゲージが発達した日本では線路が最も充実していてテーブルトップで展開するのに不足はありません.では日本のHOゲージはどうなるのでしょうか?ユニトラックの370㎜などがテーブルトップ運転を牽引する可能性が見えますが,線路システムとしての広報はほとんどされていないし,車両製品も急カーブ対応への工夫が進んでいるとはいえませんね.


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