先駆的な前輪駆動アメリカ車の模型:ToronadoとCord [car model]
ディアゴスティーニ(Deagostini)は1/43のアメリカンカーコレクションを展開していますが,先日書店に寄ってみたらオールズモビル・トロネード(Oldsmobile Toronado)が平積みになっていたので手に入れました(2022年10月25日発売).
1966年式のToronadoです.この車は米国で大戦後初の前輪駆動車として注目されました.構造的に画期的なモデルですが,なんといっても人目を引くのはこのデザイン,まるでコンセプトモデルがそのまま市販されたようです.
アメリカ車黄金時代の名車です.フルサイズのパーソナルラクジュアリーカーとして位置づけられています.それにしても前輪駆動を導入するのならもう少し実用モデルを土台にすればよいものを,このような車種が選ばれたのが意外です.GMのパーソナルラクジュアリーカーとしてはキャデラック・エルドラードがトロネードより1年遅れて前輪駆動になり,ビューイック・リヴィエラはかなり遅れて1979年式から前輪駆動になっています. 1971年にはフルモデルチェンジがおこなわれ,キャデラック・エルドラードの姉妹車のような位置づけになり,斬新さはなくなってしまいました.トロネードは4世代続きますが,最後はダウンサイズして1992年型が最後となります.なおオールズモビルブランドはGMの中で一足早い2004年に終了となりました.
こちらは2年目1967年式モデルです.グリルのパターンがかわり,格納型ヘッドライトのカバーが面一になったほかは外観上あまり変わっていません.
1967年型オールズモビルのパンフレットです.この第1世代のモデルは1970年型まで続きますが毎年少しずつデザインが変わっていきます..
さて本題の模型の話です.
トロネードの初年1966年式の1/25キットはJo-Hanから発売されました.その後このキットがどのような展開になったかはこちらのサイトの系譜図が参考になります.
翌1967年式はJo-Hanからではなく,同社からOEM供給されたAMTと独自金型のMPCの2社から発売になっています.
これは1967年式のMPCのモデル(友人所有)です
わたしの友人が組んだ1967年式のMPCのモデルです.背後にあるのはAMTの1966年式ビューイック・リヴィエラ,優美な2台です.
ところでJo-Han製品は1968年式以降,再び自社ブランドで継続されました.第1世代最後となる1970年式モデルはその後1974年にUSA Oldiesシリーズとして復刻されており,それを手に入れることができました. 第1世代Toronadoは1968年に前面の形状がかわり,1969 年に後面の形状がかわります.
未組立ですが,キットの車体です.前面はヘッドライトが格納されない固定型になりました.
登場時と比べてリアクォーターパネルの形が変更されました.
66年式と70 年式を比較するとリアクォーターパネルの変化がよくわかります.普通のアメ車に近づきつつあるのがわかります.初期モデルに未練があったので1/43モデルを手に入れたというわけです.
模型のモールドは同一世代ではモールドを修正しながら利用しているようです.したがってJo-Hanの場合は最終年の型だけが再生産できたことになります.その後Jo-Hanのモールドは廃棄されてしまい存在しないようです.またMPCのモールドはカスタムカーとして改造されました.
したがってこの年代のモデルが現在AMTやMPCのブランドを運営するRound2からどんどん復刻されている中で初代トロネードの復刻は期待できないことになります.
1/64では Johnny Lightningの’66式モデルがあります.
フードがあき,エンジンの特長的なエアクリーナーが見えます.
トロネードのことを大戦後初といいましたが,それは大戦前に前輪駆動の先駆けとなった車があるからです.それはAuburn Automobileのコード(Cord) 810/812です.前輪駆動のみならず格納式ヘッドライトも初の試みだったようです.
Lindbergのキットの箱には実車の写真が載っています.当時にしては格納式ヘッドライトを備え,フットステップなしの低床構造,排気管がエンジンフードの脇から出ているなど,デザインは極めて斬新です.1936 年のCord810,翌1937年に改良モデル812を投入しますが,このシリーズが継続されることはなく生産を終了しています.
このキット,ビンテージキットに関心にある方以外は手を出さないほうがいいです.Pyroが1957年に発売したプラモデル初期の大味なキットで,プロポーションは今一つみたいです.パーツを並べてみました.クロームメッキパーツは後から枝ごとメッキしたようで,エンジンは唐竹割の2パーツのみで総メッキです.
このキットの製造年譜はこちらのサイトにあります:
この模型を組むのなら現在は入手がむずかしいかもしれませんがMonogramの1/24キットがいいでしょう.Revellから再販されるかもしれません.弟が組んだことがあり,説明書だけ残してあります.
アメリカの前輪駆動の先駆けとなった2台の車を模型としてとりあげましたが,どちらも特徴的なデザインで興味は尽きません.
1/48-1/43 Jeepとその仲間たち [car model]
【1/48 Willys MB】
タミヤの1/48ミリタリーモデルでアメリカ歩兵前線休息セットというのがあります.フィギュア9体には今日に通じるジャンパーを着た人物もあり,軍用以外でもOスケール鉄道模型ではタミヤ人として重宝されています.しかし,このキットには車が含まれています.普通ならフィギュア付きの車のキットとして扱えばいいとおもいますが,おまけのような待遇になっているのがWillys MB,通称軍用ジープです.
もう一つはかなり前に入手したものですが,FROG製のキットです.FROGのキットはエンジンやトレーラーがついているのが魅力ですが,トレーラーだけ入手当時に組んで利用していました.
今回タミヤのキット2台とFROGの本体を完成させました.
タミヤの2台です.軍用装備は外していますが,素組みです.工場配備の作業車となる予定で塗色は派手な民生色としました.組みやすいキットです.
こちらはFROGのキットです,現在は出回っていない製品です.素材のプラスチックは少しやわらかいです.フィギュア4体,エンジン,幌,それにトレーラーがついているのがいいのですが,床板の前方を削らないとはめ合わせが難しく組立にてこずりました.
タミヤと違ってこちらについているフィギュア4体はすべて座位なので鉄道の運転手としても活躍してもらう予定です.
完成した3台をならべてみました.
【GAZ-67B】
タミヤの同じシリーズからでているソビエトのフィールドカーも併せて組みました.
実在するかは知りませんが民生用塗色で仕上げています.
MBと比べるとフェンダーが張り出している部分だけ幅が広くなっていますが,キャビンのサイズはあまり変わりません.
MBの同色の一台と並べてみました.
これらの組み立てでタミヤ人,フロッグ人が大勢やってきました.塗装が間に合いません.
【1/43モデル 初期ジープ】
1/43のダイキャストモデルです.そもそもアメ車としては極めて小さく,活躍の場も世界中なので1/48のOスケールレイアウトに違和感なく溶け込みます.
右から1台目のShore Patrolと3台目の明るい迷彩がHongwellの製品,安価ながらよくできています.
白いのは国連仕様(Victoria製品).そして左端は民生車CJのレジャー仕様Jeep Surrey(ixo製品)です.
1/48(Tamiya)と1/43(Hongwell)の比較です.大きさの違いは歴然ですが,スケールに幅のあるOスケールの情景には配置しだいでどちらも使えます.
【1/43モデル ジープの発展】
その後のジープの進化です.中央は1955年から83年にかけて製造されたJeep CJ-5(ixo製品).かなり大きくなっています.そして右側が現行一つ前のJK(greenlight製品)です.
ジープは世界中でライセンス生産されてきました.三菱ジープ(写真左)は初期のCJ-3が原型になっていてこれはデリバリーワゴンJ30(1961)です.モデルは国産名車コレクションにラインアップ(ixo製品)されていました.
並べたツートンのワゴンはWillys Rural (1968)です.ブラジルで生産された派生車で面構えは随分幅広ですが,側面は三菱ジープのデリバリーワゴンに似ていて起源が同じ車であることがわかります(whitebox製品).
現在ジープブランドはステランティスの傘下です.そこでフィアットが生産していた同類のFiat Campagnola(1963)を取り出してみました(ixo製品).イタリア側のモンブラン,Monte Biancoのロープウェイの所有車になっているところが面白いです.
新型ジープは大きくなりすぎましたが,初期型のジープや同類の小型車は産業用ナローゲージの情景になじみやすく重宝しています.
CorgiもHot Wheelsだった? 2台のSand Stinger [car model]
先日開催されたミニカーモデルのイベントでは安価な少し変わったモデルをいくつか手に入れました。
手に入れたホットウィールです。トミカに比べるとかなりハチャメチャな展開のホットウィール、愛好者がいるとはいえ、日本で重宝されるのは実車があるモデルで、創作ものやディフォルメ物はバルク買いや詰め合わせ(アソート)セットの余りものとして放出されることが多いようです。そんな投げ売り品目にいつも注目しています。
こちらの2点はジャンク扱いの箱の中から拾ったものです。
並べてみました。珍車類はノンスケールで集めているわけではありません。これでもOスケールのバギーコース・ジオラマ用というつもりなので、それに見合った改造を施していくつもりです。今までに加工した事例はこちらにあります。(“ATV3台がやってきました”
Bump Aroundは天井集電でぶつかりあう遊園地の乗り物です。既に内燃機のボンネットに転用(“手を振る機関車Bump Around” https://karatcreek.blog.ss-blog.jp/2018-09-22 )していますがきれいな色違いを見つけました。
Power Sanderというサンドバギー。形が好きですが、シートはチャイルドシート並みなので拡大する予定です。
Kick Kartは中々面白い造形です。大きな座席がついているのでドライバー頭部は前部のロールバーの上に出るのかもしれませんが、前方が見えにくい!Oスケール相当にしたいのでロールバーは落としてしまうつもりです。
Wheelie Chairはその名の通り車いす。操縦桿はどこ?
Donut Drifterはご一緒した方からのいただきもの。くるくる回るドリフト走行のことをドーナッツ・ドリフトと呼ぶことを知りました。
Sand Stinger. そのまま1/43と見立てていいようなよくできたATVです。
【Corgi製品がHot Wheelsに】
次はジャンクからの掘り出し物です。小型のダンパー(鍋トラ)を探していたのです。製品はCorgi Juniorsとあります。CorgiがMatchboxに対抗して展開した小型ミニカーブランドHuskyが後に名前を変えてマジョレットのように量販店で販売したころのブランドですね。
ナベの後ろにBarford Bisonと刻印されており、早速調べるとBarfordは英国の工事用車両メーカーだということがわかりました。Aveling-Barford社は内燃機で知られるRuston & Hornsbyに買収されたあとBritish Leyland傘下となったようです。この小型ダンプは座席を少し大きく作り変えればOスケールとしてちょうど良い大きさです。
ここで一つ知ったことがありました。それは、Corgiが後にMattel社の傘下(現在はHornby)になったことで、後にこのシリーズがなんとHot Wheelsのブランドで売られていたのです。ファンダムのサイトによるとその名がSandstinger。一つ前に紹介したATVがSand Stinger、間違えないようとのことでした。ともにホットウィールの仲間として、サンドスティンガー同士を並べてみました。
最後はMatchbox Yesteryearの1911 Maxwell Roadster. 既に一台手元にあるのですが、形が好きなのでジャンク品を救うつもりでもう一台と手にしました。Maxwellは当時フォード、GMと並ぶビッグスリーだったそうですが、のちにクライスラーに吸収されたアメリカの会社です。ステアリングが右側にあることから英国でも販売していた様子です。
【追記】
早々にしまい込んで忘れていた一台、Zoom Inです。GoProとのコラボ作品でHero5Sessionをはめて使うカメラカーです。コースを走らせるとスピード感のある映像が撮れるようです。こういう遊びはおもしろいですね。トレイラーとしても応用が利くモデルです。
ソビエトの小さな車から [car model]
アシェットから1/43「懐かしの商用車コレクション」の頒布が開始されましたが、アシェットやディアゴスティーニのシリーズは各国で独自の展開をしています。ロシアの通販サイトでロシア版ディアゴスティーニの旧ソビエト時代の車のコレクションがあるのを知り、小型SUVを中心にいくつか入手しました。
DeAgostini Auto Legends USSR(1/43)というシリーズです。最近のミニカーは価格が高くなっています。仕上げが段々向上しているので致し方ないのですが、鉄道模型レイアウトの情景用にウェザリングを施したりするので、なるべく安い物を探します。配本型のコレクションは単体販売のミニカーモデルと比較して値段が安いのがありがたいです。今回入手したものを中心にソビエト時代の小型車を紹介します。
■IMZ-NAMI-A50 Belka (Squirrel) 1955
変わったデザインの小型車です。IMZ (Irbit motorcycle factory) とNAMI (Central Scientific Research Automobile and Automotive Engines Institute)の共同開発で、イセッタにヒントを得た、前部から運転席に乗り降りするモーターサイクルエンジンを積んだ車ですが、試作で終わったようです。
かなり前のめりのボディを持つリアエンジンカーで、赤と銀の塗り分けが鮮やかです。
■SMZ S-3A 1958
これは以前に入手していたモデルですが、同じディアゴスティーニのシリーズなので紹介します。SMZ (Serpukhov Motor Works)で生産されたサイクルカーと呼ばれるマイクロカーの部類ですが、福祉政策として身障者向けに開発され貸し出された車です。346cc2ストローク10hpエンジンを搭載しています。
■Moskvich-415(1959)とMoskvich-2150 (1973)
モスクビッチの名は広く知られていますが、小型SUVもありました。こちらは1959年のMoskvich-415
こちらは1973年のMoskvich-2150
この二台は年代が10年以上離れていますが、いずれも試作で終わっているようです。
■LUAZ-969 1975
ウクライナのLuAZ (Lutsk automobile factory)で生産された小型4駆オフロード車です。Moskvich-415の発想を受け継ぐ形で開発されました。いくつか年代的にバリエーションがあるようで、ベージュ色と青いモデルで全面のデザインはかなり違うのですが、よく見ると同じ車体です。エンジンは1.2L、全長3.3mと小振りです。
■NAMI-750 1948
この一つ目小僧は電気自動車です。NAMIで試作された2種類のバンタイプの電気自動車のうちの小さい方で積載量は500㎏。生産は1951年、20台ほどつくられ郵便配達用に1958年まで用いられたそうです。
■VAZ-1801 1979
ゴルフカートのようなモデルですが、電動車です。VAZ (Volga Automobile Factory)によって試作された構内用の電気自動車です。
■Autokam-2160 Ranger 1992
Autokamは1989に設立された団体で1991年にイギリスの組み立て式自動車Rickman Rangerの生産を開始しました。Rickmanは英国のオートバイ改装メーカーですが、スズキジムニーに似たボディーキットとしてRangerを1985年にリリースし、それを引き継いでいます。後輪駆動です。
ショートボディとロングボディがあり、これはショートモデルです。
ズズキジムニー(右、マレーシア警察仕様)と並べてみるとよく似ていて、ジムニーよりもわずかに大きく、プレスラインを少し控えたような形状なのがわかります。
殆ど知られていない車の素性をネットで調べながらミニカーで形を確かめるのも楽しいものです。
1/43 Suzuki Jimny [car model]
新型ジムニーの1/43モデルを先日入手しました。これで全世代のジムニーが1/43で揃ったので、並べてみました。
6台あります。左の2台が初代、中央の2台が第2世代、そして第3世代、新型の第4世代と並べています。ジムニーは輸出や現地生産が盛んで、その仕様は把握しきれませんが、基本的な形態は揃っていると思われます。
では、1台ずつミニカーについて実物のことと合わせて眺めてみることにします。
【初代LJ10、1970】
ホープスターから引き継がれた技術をもとに開発されたジムニーの初代1期の360ccモデルです。模型は国産名車コレクションとして配布されたもので、製造はNorevです。フェンダーから突き出たミラーが良い雰囲気を出していましたが、いつのまにか両側ともに折れてしまいました。バンパーも折れてしまっています。荷台の脇に垂れ下がった幌の厚みだけ、ボディがえぐれてしまっているのがご愛敬ですが、よくできています。
【初代LJ80、1977】
初代第3期となる輸出仕様800ccフルメタルドアモデルです。模型はNeo 製のレジンモデルです。メタリックブルーに仕上がっています。国内ではジムニー8と呼ばれていたようですが、ラジエター周りの塗り分けの関係か随分印象が異なります。
【2代目 SJ30、1983】
1981年にモデルチェンジして2代目となった550ccのハーフメタルドアモデルです。模型はDISM(アオシマ)のレジンモデルです。
【2代目 SJ410、1981】
同じ2代目ですが、輸出仕様1000ccのクローズドキャブ仕様です。模型は国産名車コレクションの配布モデルでメーカーはわかりません。裏側には対米輸出名のSuzuki Samuraiと書かれています。
【3代目 JB23、1998】
新軽自動車規格に合わせて発売されたクローズドキャブ仕様のみになった3代目660ccモデルです。模型はHi-story(インターアライド)のレジン製です。
【4代目 JB74 Sierra、2018】
そして最後が2018年に登場した4代目。1500cc仕様のシエラです。模型は京商のダイキャスト製です。模型で見ると、3代目と比較して側板が寝てないのでキャブの容積はかなり広くなっているように思えます。
手前に新型シエラとWillys Jeep MBをならべてみましたが、MBよりシエラの方が大きいです。
1/48の情景に違和感なく溶け込めるように、軽のような小さな実車の1/43モデルを揃えているのですが、この度のジムニーは先代と比較してサイズは変わらないというものの、限度ギリギリの箱型なのでかなり大きく感じます。
なお新型はシエラ仕様を紹介しましたが、軽仕様ではMark 43(ホビージャパン)とHi-Story(インターアライド)からレジン製モデルが先にでています。実物は現在でも納車待ちの状態ですが、模型の方も数が少ないようであまり出回っていないようです。
また、バンダイから大き目のガチャ(カプセルトイ)として出ていたジムニーも手に入れました。上の白いボディがガチャモデルですが、シエラの張り出し部分一杯のサイズで軽仕様が造形されていて、背丈も高く、前面の絞り込みもないので大きく感じます。
ATV3台がやってきました [car model]
我がOナローの世界にATV(All-terrain Vehicle,全地形対応車)3台がやってきました.
オフロード車というのはオンロードもOKな通常登録の車を指すようで,サンドバギーなどの軽量のものはATVという分類だそうです.
Hot Wheelsと現在のMatchboxはいずれもマテルのブランドで,ディフォルメされた遊び心のあるモデルで占められています. 1/64に近いものもありますが,スケール不明な創作ものが多いです.バギーの類は1/43に仕立てられるものがあるので,ここではそのうちの3台をとりあげることにします.
【Kawasaki Brute Force 750】
まずはMatchboxのKawasaki Brute Force 750です.購入価格は470円で通常トミカとほぼ同じです.これはちゃんとプロトタイプがありました.
サドルにまたがる4輪バイク(バイクの語源が2輪ですからおかしな表現ですが)で日本のサイトから入ってもこちらに飛びます.楽しそうな乗り物ですね.
正確なサイズはわかりませんが,そのまま1/43として使える大きさで,けっこう良い出来です.
何も手を加えることはなく,ウェザリングを施しただけです.
【Bogzilla】
次はHot Wheels(HW)のBogzillaです.イベントでセールになっていてたったの100円でした.プロトタイプはなくHWのオリジナル(日本人のデザイン)です.運転席にある円形に膨らんだ部分はステアリングホイールのようで大きなフィギュアを載せたイラストがパッケージに描かれていました.座席はちょうど良い大きさなので円形部分を切り落とすだけの加工になりました.
ダッシュボード上部の円形部分を切り落として新たにステアリングホイールをつけました.
ステアリングホイールは鉄道車輌用のブレーキハンドルです.ウェザリングを施して完成です.
【Four X Force】
最後はMatchboxのFour X Forceです.(こちらでも紹介:2017-12-10)
右のオレンジ色が元のままです.二人掛けシートになっていますが,1/43見当にするためにモールドのステアリングを削り落として座席を外し,一人掛けのシートとステアリングを新生しました.
軽くウェザリングをしました.
座席とステアリングホイールの新調で楽しそうな小型のバギーになりました.
【揃い踏み】
こうして3台のサンドバギーというかATVが揃いました.貸し出し用にしましたので,少しは観光客が呼び込めるでしょう!
Four X ForceとBogzillaはフリースケール物ですが,運転席の改造で1/43スケールのモデルと並べても違和感なくなじみました.
Matchboxは日本に正規の輸入ルートがないようなのでイベントなどで探すようにしています.
HWやMatchboxは通常のトミカ同様に値段が安いので,ちょっとおもしろいものがあったら気軽に改造してみるのも面白いと思います.
模型で比べるフォード(10) ヨーロッパ車から [car model]
フォードは日本とも縁が深いのですが,残念ながら模型ネタを持ち合わせていないのでヨーロッパに飛びます.
【英国フォードのパネルトラック】
まずはアメリカンな1/25プラキットからです. Gasserと呼ばれるドラッグレース用ホットロッドのプラキットにイギリス型を見つけることができます.
このRevellのキットは1951年英国フォードのThames(テームズ) Panel Truckで再販されているものです.ただしストックで組みことはできずドラッグレース専用仕様です.エンジンはV8に換装されています.セダンのAnglia(アングリア)についても同様のキットがあります.
Revellらしくドア,リアゲートが開閉します.取説は初版(1966)で1969年に組んだ時のものです.当時は箱絵のようなグリーンメタリックのモールドでしたが再販ものは白です.
1940年型の本国パネルワゴンと比較していますが,かなり小さいことがわかります.
そしてこちらは本来の姿である1/43 Corgiのダイキャストモデルです.裏にはFord Popularと刻まれています.縦に二つ並んだグリルの形がいいですね.
A型が終了し1932年にV8モデルが登場する時点で英国では独自で小型(幅1.4m,全長3.6m)のY型が登場しており,その後継が1939年の初代Angliaです.この模型のスタイルになったのが1949年です. Angliaは1953年にモデルチェンジしますが,このボディスタイルはPopularの名前で1959年まで生産されています.Thamesは商用車につけられた名前ですが,Anglia Vanと書かれたものもあるので正確なことはわかりません.
これはHot Wheelsの1/64 Hot RodモデルでAnglia Panel Truckとなっています.塗装のヴァリエーションが豊富な人気モデルで,エンジンがついています.
【その他の英国モデル】
左側は1953年にモデルチェンジした後のAnglia 100EでVanguard製品です.その後1959年にリアウィンドウが逆傾斜で知られる(初代マツダキャロルも)デザインにモデルチェンジしますが,引き続きこの型は1962年までPopularとして生産されます.つまりAngliaはモデルチェンジしても古いモデルがPopularとしてしばらく継続されるわけです.
60年代に入って京都でもよく見かけた車があります.それがConsul Cortina(1962-66)です.これは1/43 Corgi製ですが,フロントバンパーが割れているので高性能版のLotus Cortinaです.ただし良く知られるのは白っぽいボディにモスグリーンのペイントラインの入った配色です.
友人がくれた実車のカタログが残してありました.
Matchboxのモデルが2台ありました.左はCorsair(コルセア,1963-70),右はZodiac(ゾディアック,1966-72)です.CorsairはCortinaより一回り大きいモデルです.よくスバル1000が似ていると言われる形です.
Zodiacは最高級車でZephyrとデザインが共通しています.エンジンの前にタイヤを積んでいてやたらボンネットが長いくるまです.
【ドイツのフォード】
ドイツフォード車はTaunusの名がついています.手元にあるのはVikingのHOモデルです.
左はTaunus G93A(1939-42),右はTaunus 12M(1962-66)です.
G93Aは米国フォードの同年式モデルをそのままダウンサイズしたデザインで幅1.49m,全長4.1mです.12MはちょうどCortinaと同じ時期につくられたモデルで車台は共通なのかもしれませんが,エンジンはV4,前輪駆動です.この12Mは見ていませんが,前衛的なスタイルになってからの17Mは町中でみかけることがありました.
【フランスのフォード】
個性的で魅力的なシトロエンやパナールといったフランス車のなかで一番目立たないのがフランス製のフォード車です.イギリスやドイツのフォード車が小型なのに対し,比較的大きい車を生産していたようでVedette(ヴデット,1948-54)は幅1.72m,全長4.67mでエンジンはV8です.
Vedette (1954)の1/43モデルがあります.ミニカーのメーカー名が入っていないのですがixo製品と思われます.
フランスフォードの複雑なその後の経緯です,
フォードのフランス工場は1954年にFiat傘下のSimca(シムカ)に移管されました.VedetteはSimcaに引き継がれました.Simcaは1960年にChrysler(クライスラー)に買い取られました.さらにフランスのChrysler はPSA(プジョー・シトロエン)に買い取られ(1978),英国の伝統あるTalbot(タルボ)ブランドを復活(1978-87)させてその生産拠点となりました.そして現在はPeugeot(プジョー)の主力工場になっているそうです.
イギリスとドイツのフォードは1967年に統一され,その後車種も統合され,ヨーロッパ市場の拠点として現在に至っています.
ヨーロッパ型は模型を網羅しているわけではないので,断片的な話になってしまいました.これにて模型で綴るフォード車のお話しはひとまず終えることにいたします.
模型で比べるフォード(9) 60年代,キットの盛衰 [car model]
Fordの乗用車は長らく単一車種でしたが,1955年のThunderbirdに続き,60年代には複数の車種が登場します.それが1960年のコンパクトカーFalconとフルサイズより一回り小さいIntermediateクラスとして1962年に分離したFairlaneです.またパーソナル/スポーツモデルのMustangのデビューは1964年です.フルサイズのシリーズはGalaxieとして1960年モデルで横長のラジエターグリルの中に4灯式ヘッドライトが収まるフラットなデザインになります.
【1961 Galaxie】
第11世代の1960-64モデルでホイルベースが3mを超えました.幅2m,全長5.4mです.'60モデルがAMTからでており,形が好きなのですが,手に入れていません.これは1/25 AMTの'61 Galaxieです.
これは初期のプロモーションモデルからの派生とも思えるシンプルなキットで,エンジンはついていません.仮組してみました.
'61から'63まではどれも丸いテールライトが特徴です.
床下は一体モールド,バスタブ型インテリアを入れてタップねじで止めるだけの構造です.初期のモデルはこのようなものが多かったのですが,簡単に仮組ができるので好きです.また完成後は破損しにくいのも利点です.
このキットはフルカスタムをつくるStyline kitのシリーズとして再リリースされています.
大幅に車体を改造するためのパーツがたくさん入っています.
この時代になると人気があるのはライバルのシボレーインパラです.
【1965 Galaxie】
続いて第12世代となる1965-68年モデルです. AMTの1965 Galaxie Convertibleを1966年に組んだので説明書だけが残っています.
その説明書がこれです.’65まではフェンダーラインが直線ですが,’66からコークボトルラインと呼ばれる盛り上がりが後部座席の脇に見られるようになります.67年モデルまで縦4灯式のスタイルが継続されました.
Matchboxのポリスカー仕様のモデルがありました.
【比較】
ひととおり1/25モデルを年代順に取り上げたので,いくつかをピックアップして並べてみます.
’28 Tudor Sedan, ’32 Coupe, ’40 Coupe, ’48 Coupe, ’57 Hardtop, ‘61Hardtopと並べてみました.どんどん大きくなっていくのがわかります.
’61 Galaxieのサイズは幅2m,全長5.4mです.この後のフルサイズモデルですが,13世代となる1969-78モデルLTDでホイルベースは121in.(3.07m),全長5.69mと最大になります.大きなアメリカ車がデザインとして美しい時代は1960年代がピークです.後半にかけてヘッドライトが収納されるスタイルが流行りますが,70年代に入るとデザインは鈍重になり,さらに安全対策,環境対策によりサイズは縮小されていきます.
【プラキットの盛衰】
これは1969年のAuto Worldの通販模型カタログに載っているAMTのトロフィーシリーズと呼ばれる旧車キット紹介ページの半分ですが,18台中2/3がフォード車です.車体の発展をみていくにはフォード車しかなかったわけです.
一方,新車の1/25 annual kitは1959年モデルから始まるのですが,フォードの他,GMやクライスラーも多様なモデルを出て一気に花開きます. AMTのannual kitが最も車種豊富だったのは1966年です.実車が一番魅力的だった時代ですね.AMTのannual kitリリースは1977年モデルが最後で,そのあとはプラモデル不況時代となるのです.’80以降のMustangなどのパーソナル/スポーツモデルを除いたフォードモデルはAMTの’89 Taurus,Lindbergの’96 Crown Victoria (Police car) などがありますが数は少ないです.
Auto Worldの1969年型新車キットのMPCのページです.このころはAMTよりMPCが幅を利かせていました.このページには17モデル載っていますが,フォード車はMustang1台だけです.
【ウッディーはSUV?】
米国フォードはセダンから撤退し,収益性の高いSUVやトラックに集中すると表明しています.ふと思ったのですが,かつてのウッディーワゴンはSUVの先駆けのようなものですよね.ロードスターからセダンへと主流のスタイルは変遷してきましたが,ウッディーやピックアップトラックの魅力を取り戻すということであればそれほどびっくりする方針転換ではないのかもしれません.
お付き合いいただいた模型で綴る米国フォード車の話はこれでひとまずお開きです.しかし,フォードの話題ついでにヨーロッパフォードについて語りたいことが少しあります.
模型で比べるフォード(8) ’50-‘56 Fシリーズのピックアップトラック [car model]
それまで乗用車と同じシャーシに荷台を載せていた小型ピックアップは戦後の1948年に独立した車種となります.それがFシリーズで,模型で紹介するのはその中でも一番軽量な1/2トンのピックアップトラックです.
Wikiの分類に従うとFシリーズ第1世代(1948-52)と第2世代(1953-56)のモデルです.1957年からは箱型の近代的にスタイルに生まれ変わっています.1953年型はMidnight Pumpkinの名でタミヤがラジコンカーやミニ四駆を出しているのでなじみがあるかもしれません.
【1/43モデル】
左が第1世代の1948年型F-1,右が第2世代の1953年型F-100です.どちらもRoad Signature(Yat Ming)のモデルです.
【1/25の3台】
1/25キットです.上が1980年型F-1(Monogram,ただしRevell合併後の新しいキットで現在はRevell名),左下が1953年型F-100(AMT),右下が1956年型F-100(Revell)です.
3台のボディを並べてみます.左から青いのが1950年型F-1(Revell/Monogram),ライトグレーの 1953年型F-100(AMT),そして赤い 1956年型F-100(Revell)です.‘53(グレー)と’56(赤)の違いですが,最終年度の’56はフロントウィンドウが立って,横に回り込んでいるのがわかります.
50年代の乗用車はすでに箱型に進化していますが,トラックはフェンダーが飛び出した旧態依然のスタイルです.
外寸は同じですが,キャビンが大きくなっていきます.
大きな箱に入った’50 Revell/Monogramキットは新しい製品で組みやすいと思います.新しいパッケージはカスタムオプション付きになっています.
AMTの’53は1964年に発売され,度々再販される名キットで,初版を組んでいます.Service Truckのオプションがあり,工具やボンベ類が入っているのがうれしいです.
このようなカスタムフロント仕立てもいいです.
赤の’56 Revellキットはモールドがちょっと古く難物です.ドアが開閉し,下回りは部品が細かく分かれています.一番の難題は湾曲したフロントガラスを外からはめる構造になっていることで,なんらかの工夫が必要です.その昔友人が苦労して組んだのを覚えています.
【新車と同時発売の1/48キット】
さてこちらはなんと1955年が初版らしいRevell製品の復刻版で,スケールは1/48です.説明書にNew Ford Pickup Truckと書かれています.フロントグラスの形状から’56型なので,新車と同時発売のキットですよね.おどろきです.メッキパーツや窓ガラスのクリアパーツはありませんが,バイクや人形,さらに工事用のモルタルを撹拌するトレーまで入っています.
味わいのあるモデルです.Oスケールのアクセサリとして使っています.
下回りも結構細かくエンジンもついています.廃車体のイメージで組みましたが,ピカピカのカスタムカーに仕上げられた例もみかけます.
【1/64ホットロッドモデル】
このシリーズはホットロッドとしても人気があります.これはHot Wheel (1/64)の’56で,数々のバリエーションがあります.
【比較】
1/25で変遷を見てみましょう.
左から’28 (Model A), ’34, ’36, ’50 (F-1), ’56 (F-100)です,
’53(右中央のグレー)も加えて,手持ちの6台のピックアップトラックを並べました.
【おまけ:続くFシリーズ】
1957年からは箱型の近代的にスタイルとなったFシリーズは現在まで続いており,一台新型がありましたのでついでに.
第13世代となる2015年型,F-150です.Greenlightの1/64モデルです.
模型で比べるフォード(7) 1950年代 [car model]
プラキットを中心にフォード車の変遷を見てきているわけですが,50年代に入ると車種が増えてきます.それまでの米国フォードの乗用車はキャビン形状やグレードの違いだけで基本的に単一車種であったわけです.いままでたどってきた車種はWikipediaでフルサイズフォードとして扱われており,世代分類がされています.
幸いにも今まですべての世代を模型でカバーしていくことができました.
第1世代(1908-1927) Model T: (1)T型
第2世代(1927-1931) Model A: (2)A型
第3世代(1932-1934): (3)’32年型
第4世代(1935-1936): (4)’34-‘36年型
第5世代(1937-1940): (5)'37-'40年型 流線形の時代
第6世代(1941-1948),第7世代(1949-1951): (6)’41-‘49年型 戦時を経て側面が平らな箱型へ
この世代分類に従い,今回は第8世代(1952-1954),第9世代(1955-1956),第10世代(1957-1959)を取り上げます.
これが3世代にわたる1950年代フォードの1/25キットです.モデルチェンジがめまぐるしい時代が始まりました.
【1952-1954モデル 唯一我が家のフォード車)】
この世代の特徴としてフロントガラスが1枚になりました.またグレードがCrestline, Customline, Mainlineに分けられ,ハードトップ仕様がVictoriaと名付けられています.また1954年からエンジンがようやくフラットヘッドからOHVに替わりました.
1953 Victoriaは比較的新しいLindbergのキットです.最近Convertible仕様がAMTから出ましたが,同じモールドではないかと思われます.模型の出来としてフロントのグラスエリアの形状が気に入らない(上部が降りすぎている)のですが,そんな細かいことが気になるのは我が家で1年乗った車だったからです.
父と弟の3人でフォードの前にたっています.トリムでわかるように1954年型Crestline Victoriaです.1960年に家族で米国に滞在した折,乗っていたなつかしい車です.当時日本で乗っていれば高級車の部類だったかもしれませんが,車が必需品だった現地で手にした中古の実用車でした.モデルチェンジが目まぐるしく4灯式のフラットな車が登場しつつある時代,6年落ちの中古車はすでに古く感じられました.
【1955-1956モデル】
フロントガラスの開口部が横に広がりました.高級仕様はFairlaneと呼ばれ,2トーン塗装が加わりました.またフルサイズとは別にパーソナルクーペとしてThunderbirdが登場しています.
AMTの1956年型キットです.1965年に発売した当初と同じ箱絵の復刻パッケージです.1967年に購入して組み立てました.
当時緑系のツートーンで仕上げました.残してある当時の説明書は色鉛筆で着色してありました.前輪操舵,ドア開閉モデルです.
【1957-1959モデル 第10世代】
車体はさらに大きくなります.また後部をピックアップにしたRancheroが登場します.1958年モデルからは各社申し合わせたように前照灯が4灯になります. この'57年型は久しぶりにシボレーを抜いてトップセラーに返り咲いたとのことです.
AMTの1957Fairlane 500のキットです.’56型キットに先駆け 1963年に発売されました.’56型と同じくAMTとしては珍しい前輪操舵でドアは開閉します.
1966年に組んだ当時の説明書です.Customのほかにパテ盛りで大幅に改造するStylizedのオプションが加わり,キットにはパテのチューブまで入っていましたが,すでにコチコチに固まっていて使えませんでした.
この世代の最終は1959年型で,Matchboxのモデルがありました.1958年から4灯式になるのですが,'59年型でライバルのシボレーはグリルとヘッドライトが横一列に並ぶスタイルに生まれ変わったので,デザイン的には一歩遅れました.
【比較】
左から’49, ’53, ’56, ’57, 2ドアモデルを並べました.
‘57で車体が大きくなっているのがわかります.
【旧車キットの時代はここまで】
各世代を模型で比べてきましたが,ここまでのキットはいわゆる旧車キットでした.旧車キットは圧倒的にフルサイズフォードで占められています.AMT, Jo-Hanなどのプロモーションモデルメーカーがその派生品として新車モデルのキットを展開したのは1959年ごろからで,毎年のように実車の新モデルにあわせてつくられました.この新車キットの時代になってフルサイズフォードは数々のモデルに埋もれてしまい模型としては注目されなくなりました.
最後の60年代の話に移る前に50年代のピックアップトラックを次回取り上げます.