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模型で比べるフォード(1)T型 [car model]

昨年,フォードが北米でセダンから撤退?という衝撃的なニュースが流れました.ミニヴァン,SUV,スポーツモデルに重点化するということらしいのですが,そもそもなぜセダンが車のボディの本流だったのかということを考えたいところです.車のボディの変化をたどるために一つのメーカーを選ぶなら,フォードほどふさわしいメーカーはありません.幸い1/25のプラキットがあるのでT型フォードから50年代に至る推移を追うことにしました.ではT型フォードのボディから見ていくことにしましょう.
 
T型フォードは鉄道模型にも欠かせないものです.T型フォードは世界初の量産車として1908年から1927年の長きに渡って生産され,世界中に輸出され,かつノックダウン生産されました.したがって蒸機が活躍した時代の世界のどの風景に登場してもおかしくない,いわば標準モデルなわけです.車体の構造やエンジンはずっと同じですが,真鍮色が目立つ直線的なデザインから丸みを帯びたデザインに徐々に変化しています. 模型としての特徴やその背景にも触れながら進めることにします.
 
【1/43モデルのヴァリエーション】
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まず1/43モデルです.左の2台はIXO製品のRunabout (Roadster)で幌付(赤)が1926年, 幌を下ろしたのが1925年とありますが,モデルの型は同じです.右はNeoのDepot Hack (Woody Wagon)で1925年型とあります.シートは3列あるので今日のミニヴァンですね.いずれも後期型になります.Oナローの情景撮影によく登場してもらっています.
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古い1912年型としてはニュージーランドのThe Model Companyの1/43.5メタルキットがあります.ラジエターが真鍮色のモデルですね,Roadsterか荷台をつけてピックアップにするか,選択できます.
 
【T型のレールカー】
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かつてあこがれたSS Ltdのメタルアクセサリ類,そのカタロク本(1976)を天賞堂で見つけて購入したころはよく見入っていました.その中でも目を引いたのがT型改造のInspection Carです.HOのほかにOn3仕様もありました.動力のない静態モデルです.
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その後On3版はOnTrakのブランドで発売されたので購入することができました.そしてOn30で動力化しました.モーターを収めた関係でエンジンディテールは日本型単端に移植しました.
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もう一台組み立てたいので手に入れました.
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エンジンだけも分売されました(右),左は後に述べる1/25キットのものです.
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T型にちなむレールカーは他に2種類組んでいます.
左はBranchlineの1/43.5 Rail Truckキットで荷台があまりにも短いので作り替えました.
右はFirebox ModelsのレジンキットでバックマンのHigh Railer Motor Carを動力に使います.かなり大味なキットなのでT型といえるか怪しいですが,すこし手を加えてみました.
 
【プラモデル】
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1/48ではミリタリー系で優れたモールドの製品を最近見つけました.RPM製の従軍救急車です.ホイルベースはそのままに寝台部を延長した特殊架装だと思いますが,そのまま組んでも良し,レールカーの素材としても適しています.
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これはちょっと例外,スケール不詳のヤマダのびっくり分解自動車シリーズの復刻版です.かつて製作したことがあったので復刻版を手にしました.模型にはめずらしい4ドアセダンのスタイルをしていますが,ドアは真ん中にしか刻まれていなく,スケールモデルではありません.びっくり分解といっても衝突させるとブロックごとにばらけるだけの単純な構造ですが,味わいのある模型です.
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プラモデルの最後にすでに手元にないモデルをあげておきます.バンダイの1/16プラモデルで1913年型のヴァンです.70年代前半に購入しました.薄い木板シートや金属パーツも一部使われている大変よくできたキットで模型店のショーケースに展示させてもらったほどです,数年前まで京都に残っていましたが,すでに処分しました. 
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何か取説以外の残留品が残っていないか探したら,ありました.デカールです!剥製屋仕様にしたので残ったのがこれです!今日に通用する出来なのでバンダイが型を残していれば再販するといいでしょう.ただし1/16はプラモ専用スケールなので単独で楽しむしかありませんが.
 
【1/25キットのボディ・ヴァリエーション】
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さて,これが1/25のT型キットです.T型はホットロッドの改造ベースとして使われるので,ホットロッド仕様だけなら,他にもたくさんのキットがあります.箱絵にホットロッドがあってもかならずストック(オリジナル)仕様が組めるキットをならべてみました.すべてAMT製です.
左の3箱は殆ど内容がおなじです.
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AMTのキットはストック(オリジナル),カスタム,レース仕様の3通りに組めるキットを3 in 1 kitと称していましたが.そのコンセプトを継承しつつ2台作れるキットとしてDouble kitがありました.その先駆けが1960年に発売されたT型フォードのダブルキットです(左上,復刻版).オリジナルとホットロッドの下回りがあり,ボディはロードスターとクーペが入っているのですが,クーペは窓の上下を詰めたチョップドボディ(後に写真)だったので組み合わせの選択は限られました.1964年にはオリジナルクーペボディ仕様(右,復刻版)になり,完璧なダブルキットとなりました.AMTがRound 2の経営になって熱心に復刻キットを出すまでの再生産品はロードスターボディのみ(左下)で2台つくることはできませんでした(もっともいくらでもパーツスワップができるので困ることはありませんが)
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これがロードスター,ピックアップ,クーペのヴァリエーションです.エンジンはすべて同じ4気筒です.
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Turtle Deckと呼ばれるトランク(左)にはほとんど荷物が入りないので実用性を考えるならセダンにしたいところです.当時はデザインというよりこのロードスター仕様が最もお手軽な値段だったから普及したようで,1924年の値下げで$265から,Tudor Sedanが$590,Fordor Sedanだと2.5倍の$685からになっています.
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左がクーペボディ,真ん中がホットロッド用にチョップドボディに改造されたものです.右はチョップドボディからなるホットウィールのモデルで極端にチョップしたボディは天井を開けることになりますので,このボディを使うときはそのように天井をくり抜く予定です.ここではホットロッドには深入りしません(笑)
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こちらはフェートンボディですね.前方に向かって萎んでいるので後部座席のほうがゆったりしています.
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フェートンボディはT型最後期となる1927年型のポリスカー仕立てのキットになっています.エンジンは同じで,側面を覆う幌がついています.このキットはストックかポリスカー仕様の選択だけです.
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商用車としてはこのようなデリヴァリー・ヴァンがあります.AMTの一番元気がなかった70年代後半のパッケージでオプションパーツは入っていません.モールドも半透明気味でなにやら意気消沈する内容ですが,モデルはすばらしいので新たに再販がはじまっています.
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これは最近発売されたフルーツワゴンの復刻版ダブルキットです.オープンワゴンのほかにロードスターボディがついています.オプションパーツが山のように詰まったキットです.
 
T型フォードはさまざまな商業車に改装されていますので,そのヴァリエーションはきりがないのですが,フレームシャーシー,フェンダーとボディが分かれていればそのようなことが容易なので,今日より車体の多様性には融通が利いたわけですね.続きはA型です.


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