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ヴァルカン風Cタンク Vulcan 0-6-0 [O-16.5mm (On30, O16.5)]

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またしてもレジンボディキットの蒸機を組みました。1908 Vulcan 12tです。
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新額堂さんで見つけたボディーコンバージョンキットでV.&T. Shops製です。V.&T. Shopsは古いガゼット誌に広告が載っていますが、現在は廃業しておりWebにもほとんど情報はなく、製作例も見当たりません。珍しい物ですが、偶然にもTadさんがすでに下回りも合わせてお持ちでしたので色々と伺うことができました。(同氏のブログはこちらからhttps://modeling.at.webry.info/201901/article_1.html
下回りはAHM/Model PowerのHO A-3形 0-4-0が指定されていて、これを改造するための下回りのパーツがホワイトメタルで揃っています。先に取り上げたBVMのレジンとは違い、臭いが残っている古いタイプのレジンモールドです。
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この機関車の原型はKnott’s Berry Farmで保存されている2ftゲージの機関車Old Betsyと思われますがガゼット誌の前身Fine Lines‘73 11月号に載っている図面(写真)と比較すると、サドルタンクがかなり大きいのがわかります。これは下回りに使う動力を考慮して大きくしたとも考えられます。したがって原型にこだわるより全体の印象でまとめることにしました。
動力/下回りですが、指定のものは絶版になっていて手に入りません。既に入門用のBタンク製品を何種類か持っていたのでなんとかなると思っていたのですが、見通しが甘かったようでどれも寸法的に会いません。また入門用のモデルは車輪の造形やロッド類の出来が今一つなので、かなり手を入れる必要があるのですが、説明書は指定の動力にあわせて文章で改造方法を記載してあるのでどのようにすればよいか見通しがたちません。製作はしばらくお預けと思っていたところで解決につながったのがCタンクの利用です。
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Bachmann HOの産業用0-6-0機はサドルタンクと後から発売になった下回りが同等の仕様のサイドタンクがありますが、どちらもOn30への利用に最適で、いままで自作ボディで改造に活用してきました。
さらに丸瀬布の雨宮も作る予定で予備を在庫しているのですが、このキットにもピッタリということに気づいたのは最近でした。キットにはOn30とOn3に対応したシリンダーヘッドがそれぞれ入っているのですが、このバックマンのシリンダーはそのまま使えます。また煙室を支えるサポートはそのままピッタリとはまり、ボイラー下面もダイキャストモールドがそのまま使えます。
そんなことでキットの貴重なメタルパーツであるシリンダーヘッドやボイラー下面は使うことなく部品箱送りとなってしまいました。
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Cタンクでは第3動軸が半分キャブにかかるので、キャブを指定通りの高さで取り付ける場合はキャブ側面に切り欠きが必要で、ポーター機などに実例が見られます。しかしキャブ高さを指定より数ミリかさ上げすればバックマンの土台にそのまま載ることが解ったので加工せずに進めることにしました。写真左上がバックマンのキャブ床で右上がキット付属のキャブ床ですが、加工するよりも作り直しほうが早いのでプラ板を使いました。
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レジンのキャブは歪んでいますがなんとか箱組にしました。補強のために四隅には1㎜プラ角材を接着してあります。
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キャブ屋根は中央が平らで、両脇絞り込みなのですが、付属のパーツは平らです。これを曲げろというのは無茶な話です。Tadさんからはレジンパーツの曲げ方のヒントをいただきましたが、割れてしまう心配もあるし、曲げ位置の確定も難しいので、プラ板でつくりなおすことにしました。
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屋根板はEvergreenの筋目板を使い、曲げる部分に流し込みタイプの接着剤を塗りこみ、軟化させて曲げが保持出来たらフレーム(左)に接着しました。フレームはキャブ内に入れ込むようにしてあり、キャブと接着せず、取り外しできるようにしました。
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組み上げて全体のバランスを見ます。0-4-0とは違うとはいえ、まとまりはいいようです。
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サドルタンクはキャブ前面と2本のねじで緩く固定しています。前端のボイラー・煙室は裏面からねじ止めしており、サドルタンクの前部はそれにのっかるかたちになります。
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ハンドレールと窓枠をつけました。火室/バックヘッドがついていますが、細かなディテールはなく、Grandt LineのPorter Cab Detail Kitを使うといいと説明書には書かれています。
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サドルタンク脇のランニングボードは最初から表現のつもりかヨレヨレの状態で一体モールドされており、右翼は前半分が割れていてありません。プラ板で作り直してはめることも考えましたが、朽ち果てて半分外れたランニングボードとしてそのまま活かすことにしました。
砂まき管とドーム蓋は適当にアレンジしました。タンク蓋はパーツが用意されているようなのですが、見当たらないので適当に作りました。
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バックマンの機関車のエンドビームのステップは簡単に外れるのでそのまま使いました。床が高いので本当はもう一段ないと乗り降りが大変ですが!キットにはロストワックスのカプラーポケットがついていましたが、バックマンのナックルカプラーをそのまま使うことにしたので、これも部品箱送りです。
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煙突はホワイトメタルで、2ミリのねじを立てて落とし込むようにしました。油灯はメタルパーツが入っていましたが、バックマンの亀の子ポーターの豆球付きのものが余っていましたので流用しました。米国型で是非ほしいのが、煙室扉の真ん中につく丸いナンバープレートです。パーツにはないので作りました。前面のエンドビームはレジンパーツが本来あるようなのですが、見当たりません。バックマンの下回りについているエンドビームは少し幅が足りませんが、そのまま加工なしに残すことにしました。
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工作が一通り終わったので、レジンパーツはミッチャクロンの缶スプレーを吹き、そのあとすべてにグレーサーフェイサーを吹きました。
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屋根はマホガニー、他は黒の缶スプレーを吹き、ヘッドライトの配線を済ませて、窓ガラスをつけて一応完成したところです。
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タッチアップをして、番号デカールを貼ってから艶消しスプレー、そのあと軽くウェザリングして完成です。蒸機34号機となりました。
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古典灯をつけているのでベルも欲しいところですが、センターライン上のスペースがないので諦めています。あえてつけるとしたら給水栓の上でしょうか?
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屋根ははめ込んでいるだけです。火室/バックヘッドまわりはちょっと寂しいのでディテールを加えたいところです。
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ランニングボードが半分外れた右側です。このサイズでもPorter社は0-6-0がありますが、Vulcan社は実在していないようです。
 
さて、当鉄道にはVulcanを名乗る機関車がもう1台あります
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それが写真手前の作品です。機芸出版社の“C. S. Small夕陽に映える鉄道”に写真が出ているスペインモレーダ鉱山の1917年製サドルタンクです。IHCのドックサイドを加工すればそれらしくなることを思いつき、10年ほど前に仕上げました。製作メモはこちらにあります。
 
こうして2輌がVulcanを名乗っていますが、米国Vulcan Iron Works製らしくしただけで正確なスケールモデルではありません。Vulcanといえば日本の1号機関車をつくった英国の会社が一番知られています。鍛冶の神様を意味するため鉄工所の名前としてはポピュラーで、あちこちに同名の工場があったようです。だから今も沿革が不明な某国Vulcan工場製ということにしておきましょう。 それにしてもレジンモールドの蒸機はこれで終わりにしたいです(笑)


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コメント 2

Tad

ロストのパーツが入ってるんですか! 私の持ってるのに入ってる金属パーツはホワイトメタルのだけです。ただキャブ・インテリア,コンプレッサー,ベルも入ってるので,お求めになったのは残りモノをまとめたもののようですね。
それにしても見事にまとめられましたね。私のは,むかし組んで中断したのと同じ理由(説明すると長くなるので割愛)で進められず,再中断です。トホホ…。
by Tad (2020-07-03 00:05) 

nkoizumi

0-6-0の下回りが加工せずにそのまま使えたので思いのほか手っ取り早くまとまりました。TadさんのOld Betsyも是非進めてください。
by nkoizumi (2020-07-03 09:37) 

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