リンドバーグのラットロッド Lindberg Rat Rod [1/25 car model アメ車プラモ]
リンドバーグ(Lindberg)のホットロッドキット,1929 “T” Rodをラットロッドに仕上げてみました.ラットロッド(Rat Rod)とは経年変化で傷んだ状態で表現されるホットロッドの一形態です.
オプションパーツが豊富なAMT,シンプルで組みやすいモノグラム,複雑で組みにくいレベル,とは初期のキットの印象ですが,初期のリンドバーグ製品は”箱絵にだまされるな”とでも言いたい二級品のイメージがあります.しかしそうとも限りません.リンドバーグはプラモデルの総合メーカーで,カーモデルは様々なスケールを展開してきました.またパイロ(Pyro)の製品も引き継いでいます.パイロの1/32キットは良くできていますが,1/25は初期の素朴な縦割りモールドで出来は今一つです.箱は実車のカラー写真だったりするので箱を開けてがっかりということもあります.玩具会社Lloydの傘下になるとHawk,Testor,IMCのモールドもリンドバーグ・ブランドになるのでどこが原型をつくったかでモデルの構成や質が異なります.また,比較的新しい製品は質が高く,1953年式フォードなどがあります.最近リンドバーグがAMTなどと同じRound 2傘下になったことで53年式フォードなどの後期製品はブランドがAMTに移行されています.かつてAMTからLindbergにモールドが買い取られた秀作1932年式フォードピックアップもAMTにブランド名が戻っていて再販されています.
さて,このモデルは元々日本のプラモデルのようにモーター走行のキットとして1965年に発売されたキットが原型です.キットは2009年の発売で,一部部品を入れ替えたと思われる純粋なプラモデルです.AMTなどと同じサイズの箱に入っていますが,中の部品は少なく,ちょっとがっかりします.クロームメッキのパーツが含まれますが,他は白色とクリアのパーツで,タイヤはビニールでなく白色のスチレンパーツというのも珍しいです.
名称ですが,1929年はA型の時代でT型は終わっています.ラジエターシェルはA型ですが,後部が丸くなったボディがT型ということでしょう.フレームはホットロッド用の別物のようです.
説明書の注意書きは日本語が入っていますが,自動翻訳にかけたままのような...
パーツの全容です.ボディを除いて白色パーツは黒色にしました.パーツはかなり大味です.ネットの書き込みを見たのですが,AMTキットからのコピーが随所にみられるということです.
ラットロッドにすることにしたので,ボディはつや消しの黒,ホイールとエンジンブロックはダルレッド,ラジエターシェル,ヘッドライトリムとタンクはシルバーに塗装して組み立ての下準備ができました.
元の設計がモーター走行仕様だったからか,トランスミッションはなく,エンジンはボディのファイヤーウォールに差し込んで固定します.
タイヤだけではなく,車軸も太いスチレンパーツで素朴な印象です.
仮載せして位置関係を確かめます.
ユニット別に出来上がったので組み上げます.エンジン後部がファイヤーウォールに支えられるので,ボディから先にシャーシに接着します.
完成です.AMTやレベルだとエンジンの素性が付記されていますが.これは説明がないのでわかりません.
ウェザリングはBragdonの茶系パウダーを擦り込んでいます.
デカールは先に組み立てたモノグラムのBlack Widow(クロゴケグモ)付属のものを貼りました.
A型初期のラジエターシェルが好ましいです.
後には燃料タンクが鎮座します.
仕上げ直前になって,ステアリングホイールとシフトレバーが見当たりません.AMTの同類のキットだとどれかにカスタムのオプションパーツが入っているので流用しました.
裏側です.トランスミッションとドライブシャフトはありません.キットのルーツがモーター走行対応だったからだと思います.
シンプルな設計なので壊れにくく安心して展示できます,ストレートに組んで,ウェザリングするだけで最近の流行であるラットロッドに仕上がります.
32年型フォードセダン・ショーロッド ”Lime Crate” [1/25 car model アメ車プラモ]
レベルの1932年式フォードセダンをボディにしたホットロッドキットを組みました.
レベルのOrange Crate(オレンジ木箱)です.キットはオレンジではなくライム色に仕上げたのでLime Crateと名付けます.
AMTが32年式フォードの改造キットを各種リリースしていた1963年にレベルから発売されたキットです.AMTのホットロッドはストックを改造してつくる自由形なのに対し,こちらは実物が存在しました.ドラッグレースで実走し,かつショーロッドとしての美しい仕上がりで賞を獲得してきたモデルです.ショー向けにボディが持ち上がります.それに加えて模型はドアが開閉します.そこまで可動にしなくてもと思いますが,シンプルな構造のAMTのモデルに対抗しているのでしょうか?凝りに凝った構造になっています.
今回作るのは2012年に再販されたものですが,1965年に初版のキットを組んでおり,その時の説明書が残してあります.当時は実車の所有者の名を冠していましたが,再販では車名だけになっています.中学生のとき友人と競作を始めるきっかけとなったモデルでした.京都の河原町通りにあったアサヒ模型で購入しました.2ドルの輸入キットの定価は1200円,レベルは代理店があったので720円,それがセールで480円だったのです.この手のキットは売れなかったのでしょう.当時のキットはモールドがオレンジ色で,フレーム周りはクロームメッキになっていたので,塗装せずに組みました.しかし,作りが華奢なので,壊れやすく最後はエンジンを他のモデルに流用した記憶があります.今回はオリジナルに拘らない仕上げにします.
まずエンジンを組みます.カムシャフトまで表現されているのにオイルパンで塞いでしまうのがもったいないです.ブロックは1960年のオールズモビル製とのこと,
エンジンを組んだら次がフレームです.パーツが細かすぎるのと,モールドが古いのでかなり傷んでおり,組み上げに苦労します.
上左がキットの前輪,上右がキットの後輪です,この後輪はドラッグレース専用のスリックタイヤです.ストリートでも走行できる仕様にするためにAMTのキットで余ったワイドタイヤに交換することにしました.下側の4本です.裏側のホイールリムは加工が必要でした.
前輪は操舵せず固定です.凹部をピンに接着する華奢な構造です.
後輪の車軸はプラでしたが,真鍮線に変えました,しかしあれこれ補正しながら組み立てているうちにダンパーやサスペンションとつながる部分が折れてしまい,片側が浮いています.
サスペンション周りに続いて,運転席,ステアリング,排気管,フロアパンとつけていくのですが,位置決めが説明書ではわかりにくく,手直しをしながら下回りを仕上げます.
ブロアーが前に突出したエンジンが魅力的です.
座席は中央に配置されています.
チューブフレームのドラッグレーサーとしてまとまっているので,他のボディも架装できそうです.
このモデルのラジエターシェルにはグリルがなく,車名に由来するミカン箱の絵(デカール)を貼ることになっています.やはりグリルが欲しいのでエバグリーンの筋入シートで作成し,はめこみました.
ボディはサーフェイサー塗布のあと,タミヤのキャンディーライムグリーンの缶スプレーで塗装しました.ボディに内装とファイヤーウォールを取り付けます.
ドアはピンをヒンジに差し込む方式ですが,ボディにつくヒンジが別パーツになっていて,しかも型がつぶれかけていました.補修を試みましたが,左ドアの下側は失敗しました.そこで左ドアはボディに接着します.
ボディを下回りに載せます.ボディにつけたリンクを,エンジンをまたぐヒンジにはめてボディを持ち上げます.またラジエターシェルは前方向に回転するように端面のチューブフレームにはめ込みます.
さて,これでフードがちゃんと収まるのか?
かなり不安定ではありますが,まとまった形になりました.
ヘッドライトが欲しいところですが,適当なものが見つかりませんでした.ライト類が一切ないのでストリート走行はこのままでは無理ですね.
ボディはセダンの高さを切り詰めたチョップドボディですが,後輪まわりはフェンダーというか僅かな張り出しが追加されています.
きらびやかなショーロッド”Lime Crate”ができました.かなり脆弱なつくりなのでいつまで形を保てるか,保管に気を使いそうです.
物置のある小屋 [O-scale structures]
脇に物置を備えた小屋をつくりました.1/48(Oスケール)レーザーカット作品です.
小さなレイアウトに置けるように奥行を短く設計しました.また廃屋としても作れるように簡易な骨組を施し,外壁がはがれて柱が露出するようなつくりにもできる構造にしてみました.2例の作品を紹介します.
内壁と柱を組み合わせた基礎部分を組み立てています.物置と2畳の部屋は仕切っています.
垂木をのせた状態です.垂木は屋根側に接着します.
外壁は簡素な縦板張りで随所に傷んだ切り込みを入れてみました.これはその部分を切り落とした状態です.
そのまま組み上げ,補修した板材を貼り付けています.
グレーのサーフェサーを吹いたあと,緑のウェザリングパウダーを擦り込んでみました.
現役小屋の完成です.
併用軌道の組線路の情景セットに配置してみました.
屋根のタイルは外れやすい仕様にしましたので,もう一棟は屋根が傷んだ状態にしました.
風化した状態で仕上げたつもりですが,廃屋感を出すためにはもう少しダメージの演出が必要なようです.
キットは2023年12月に開催された吉祥寺鉄道模型アートマルシェに出品しました.手に入れた方々の素晴らしい作品がSNS上にあがり始めています.
モノグラム1/24 ブラック・ウィドウ (Monogram 1/24 Black Widow) [1/25 car model アメ車プラモ]
モノグラム(Monogram)が1959年に発売した1/24のホットロッドですが,2010年に復刻キットが出ました.レベル社のもと,モノグラムブランドのSSP(Selected subjects program)シリーズとして発売されました.T型フォードをベースにしたロードスター・ピックアップです.
懐かしい箱絵がいいです.
このキットは通常版のほかに日本のプラモデルのようなモーター走行の仕様が別にあり,その名残をとどめています.この少しあとにレベルやAMTが凝ったホットロッドキットを展開しますが,モノグラムのキットはシンプルで部品点数が少なく,ディテールも大雑把です.そのかわり,カラーモールドされていて,塗装しなくても組める点が評価されてきました.
ボディとピックアップベッドは一体化していてモーターが収まるモールドが残っています.磁石が突起したモーターの型になっています.
荷台には単3を2本収める型の跡があります.客室にはドアのスリットがありません.ドアが溶接された飛び乗り仕様ということでしょうか?後輪は太いプラのシャフトにはまるのですが,このシャフトはボディとフレームに挟み込む単純な構造です.
前輪はサスペンションに付いている突起に差し込むだけです.操舵しません.
車体やフレームはモールドと同色の黒ですが,塗装を済ませて組み上げていきます.
後輪軸を挟んでフレームをボディに接着します.エンジンにはトランスミッションやドライブシャフトはありません.モータードライブ仕様から派生したキットだからでしょう.
車体が組みあがりました.
シートなどの内装を取り付けます.デカールはいくつかオプションがあり,火炎模様にしました.
完成です.米誌Scale Autoのキットレビューにはスランプバスタービルド(“slump buster” build)と書かれていました.凝ったキットの組み立てに滅入る中でシンプルなキットはスランプを吹き飛ばしてくれるということでしょうか.
モノグラムからは同じ時期にグリーン・ホーネット(Green Hornet)というT形フォードのロードスター・ホットロッドのキットを出していてモデルとした実車があります.しかしこのブラック・ウィドウの実車モデルがあるのかどうかはわかりません.モノグラムはそのあとも色を車名にしたホットロッドキットを展開しています.
2024年,最初の工作となりました.