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はじめてのナローゲージ蒸機はバリキット [HO-9mm]

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手元に残してある最初のナローゲージ作品の紹介です.
Nゲージを始めてしばらくした頃ですが,TMS1974年5月号にピコのバリキット(Vari-kit)が紹介されました.
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Nゲージの入門機を下回りに使うOO9ナロー蒸機のホワイトメタルボディキットです.パーツにいろいろとオプションがあり,フリー志向の私には魅力的でした.また半田付けは得意でなかったので接着剤で組めるホワイトメタルという素材に大いに興味をそそられました. 
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記事は赤井哲朗氏が書かれていますが,組立のバラエティー図解は片野正巳氏によるものです. 
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キットはさっそく手に入れました.これがキットの中身です.機芸出版社が在庫品の放出をしたときに新たに確保したものです.
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下回りにはアーノルトのT3/80型あるいはミニトリックスのT3型Cタンクが指定されており,それぞれに独立したフレームが用意されています.またTMSの記事は新たにミニトリックスの89型Cタンクへの加工例が追加されています.手元にあった下回りは入手しやすかったミニトリックスT3だったので,その仕様で組んでみました.この最初の組立品は友人宅に預けたままですが,失敗作なので未練はありません.当時アーノルトの製品は品薄でしたが,しばらくして売れ残りのBR80の入った入門セットを見つけて確保することができました.そして車体キットを新たに組みました.
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このBR80の下回りを使って組み立てた作品11号がわたしの手元に残る最古のナロー蒸機になります.手すりの紛失を除いてはずっと持ちこたえることができました.ずっとあとになって手摺を補修し,再塗装により蘇らせました.もともとウェザリングで味を出すつもりでしたので,剥げた状態からの上塗りでしたが,予想したよりすっきりと仕上がってしまいました.それも20年ほど前の話です.
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ドームの位置などちょっとしたことにいろいろ迷ったのを覚えています.作品は,HOスケールとのバランスを考えて妻板を削り,キャブの高さを少し低くしてあります.ホットロッドではありませんがChopped Cabですね.いやチョップするより逆にノッポにしたほうが,愛嬌があってよかったかもしれません.カプラー周りのモールドは使わずにアーノルトカプラーをそのまま使っています.
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正直いって,ずんぐりしたスタイルは決してバランスの良いものではありませんし,ディテールももっさりしています.しかし製品の少なかった当時は十分魅力的でした.またドイツ製の下回りの走行が安定していたことも親しめた理由の一つです. Vari-kitというのはフリーランス車体の製品名ですから本当は愛称が欲しいところです.
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最近はドイツのNゲージ入門セットにも小型タンクの出番がなくなり,小さな蒸機は品薄状態です.
写真左はアーノルトのBR80ですが,簡易ながらバルブギアまわりが作例よりも改良されています.右は変わることなく生産されたミニトリックスのT3ですが最近はみかけなくなりました.
 
ナローのメタルキットとドイツ製Nゲージ蒸機の組み合わせは過去のものとなり,現在は優れた完成品やキットに困ることのない時代となりました.ただし,メタルボディキットは現在も時折生産されるようです.TMS誌で同時に紹介されたダグラスやジャネットについてはまたあらためて紹介する予定です.


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ポケットライン・ナロー(1)国籍不明な木造車輛 [HO-9mm]

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KATOのポケットラインの動力を使った国籍不明(からくり鉱業仕様)な木造車輛の話です.
 
【ゲージ換えしたスイス風凸電】
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この赤い小さな電機は24.5WBのパワートラックを使ったHO-16.5mmのモデルです.1987年の正月明けに完成しました.しかし,この作品はもともとポケットラインを利用したナロー電機でした. 
スイスのメーターゲージ,ヴェヴェイ電鉄(CEV)の凸電で,キャブの角を斜めにしたところにドアがある腰の低い機関車のデザインを参考にして2輌,ポケットラインの下回りを利用した凸電をつくってみることにしました.
車両と同時にレイアウトにも着工し,A2判のパネルを利用し,エンドレスと引き込み線を備えたプランとしました.登山鉄道風に勾配を入れ,観光地になっている石造りの塔の廃墟のプラキットがファーラーから出ていましたので,それを中心にシーナリーのイメージを練りはじめました.とりあえず線路を敷き,試走を繰り返してみました.しかし,勾配をいれたことと,ポケットラインの動力性能や,軽すぎる車体が災いして,満足いく走りが得られません.結局,シーナリーに手をつけるところまでには至らず,解体してしまいました. 
わたしのナロー1号レイアウトは幻(写真もプラン図も残っていない)となってしまったのですが,この凸電は塗装を除いてほとんど完成していました.当時HOの小レイアウトがありましたので,せっかくならと16.5mmに改軌することを思い立ちました.この車両の車体幅は24mmですが,中心部の幅が28mmになるパワートラック用の下回りにのせてもバランスが保てる見通しがたちました.しかし,ポケットライン用の床板は既にキャブに接着済みです.そこで床板ごと新しい下回りにのせることにしました.
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ポケットライン用フレームと比較してみました.赤い電機の機械室の裾にある板はポケットライン動力にのせた床板と同寸で,このナロー用の床板がそのまま残っているのがわかると思います.
こうして凸電はパワートラックを動力とした標準軌車両として完成し,今日に至っています. 
 
【木造キャブの機関車・レールカー】
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ナローゲージを本格的に再開してからは,またポケットラインを動力としたものをいくつか試みてきました.ホイルベースが長く車輪径が小さいので,機関車には不向きで単端の下まわりに利用するのが一般的ですが,わたしが試みたのは特殊な形態のものばかりでした.いずれも試作段階で中断したままジャンク箱に放置されてきました. 
 最近になって,ポケットラインの動力はBトレインショーティーの動力として再び脚光をあびるようになりました.また,小型電車動力と称するポケットラインと似た規格のボギー動力も登場し,充実したものになってきています.また,トミックスからミニカーブレールが登場したこともあり,広く普及したこれらの製品を使って何かつくりたくなってきました.
 そこで思いついたのが木造キャブの車両やウェスタン風レールカーです.鉄道のコンセプトはまだ明確ではないのですが,車輛に関してはなんとなくイメージが固まっています.中米や南米にありそうな産業軌道用動力車輌といったところです.
 木造キャブをつくるのにふさわしい素材はエヴァグリーンの筋入りプラシートで,厚さは0.5mmと1mm,筋の間隔は1mm,1.5mm,2mmを用意しました.こういう材料を使うということは図面貼り合わせによる切り抜きではなく,直接,素材をけがくことになります.mmといっても正確にはインチ規格ですので,あくまで素材の筋目にあわせて,設計することになります.
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こうして機関車とレールカーをつくりました.
  
【ディーゼル機関車18号と19号】
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凸電(チビ凸)用動力を使った機関車です.本来なら凸電にすべきスタイルですが,内燃機です.エンジンフードの反対側は,一両はスロープのある機械室,一両は作業員も乗れる荷台付きとしました.
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【レールカー20号】
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コロラドナローのCasey Jonesからヒントを得たレールカーです.動力はBトレインショーティー対応の小型車両用動力(11-107)を使っています.
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窓の間隔は筋目に沿ったものなので,シートの現物あわせです.内側から貼り付ける窓枠の寸法は切り抜いた車体の開口部をシャープペンシルでなぞって割り出し,切り抜くという横着な方法ですが,簡単でうまくいきます.ラジエータやエンジンフードも適当につくりました.前方の傾斜した屋根は曲線をつけてカットして面あわせをしただけですが,何とかなりました.屋根に載っているヘッドライトは銀河モデルのパーツです.
ボギー動力だけあって片台車駆動とはいえ,こちらのほうが走行は安定していますね.
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【レールカー21号】
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こちらはチビ客車の動力を使ったレールカーです.エンジンフードは20号と共用で,デザインも20号と似ていますが,客室の窓が開放なので屋根付きトラックといった類いです.
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【アルモデルキット改造のレールトラック22号】
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さて,プラ板ものを4作つくったところで,アルモデルのレールトラックのキットに手を加えることにしました.エンジンフードはT型フォードと思しき小さなものがついていますが,アルモデルが分売しているA型フォード用をあてがってみるとこれがぴったり.さらにシンプルすぎるキャブですが,プラ板の貼り付けによって前作同様の木造キャブに仕立てました.さらに荷台には屋根をつけ,人員輸送トラックもしくは遊覧レールカーということにしました.
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これらの作品は2009年に製作しました.


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Woodland Scenicsの小さなストラクチャー [HO-9mm]

ウッドランドシーニックス(Woodland Scenics)の製品はKATOが代理店になっていて,シーナリー素材の総合ブランドといえますが,初期の頃はその名が示すように樹木の情景を演出してくれる小さなシーナリーキットメーカーの印象でした.精細な樹木キットとしてエコーモデルで扱われたのが最初の出会いで,重いメタルの幹とスポンジをまぶしたネットによるフォリッジが一緒に箱に詰め込まれたものを手にしました.その後,渋谷のLOFTが開店したとき,1フロア丸ごとホビー製品が売られており,同社のメタル製のシーナリーやストラクチャーが大量に並べられていたのを思い出します.メタル製の樹木やキットは,その後新製品の展開はないものの今でも生産されています.ストラクチャーのプラモデルは比較的大きなものが多いのですが,同社のメタル製のキットは小さなものがほとんどです.米国の製品としては意外なのですが,ヴィネット(小さなジオラマ)に利用するのにはちょうど良い大きさです.ナローゲージのレイアウトにはよくなじみ,一つ置くだけで物語のあるシーンが生まれます.その中からいくつか紹介したいと思います.
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これはKarat Creek Mining(からくり鉱業)のレイアウトの中心となるヤードの部分ですが,左手に機械工場(Tucker Brothers Machine Shop),右手奥に駅舎(Flag Depot)が見えます.
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駅舎は典型的なアメリカンスタイルで,これほど小振りのキットは他にありません.ここでは使っていませんがキットには屋根のあるプラットフォームもついています. 
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木橋上空から見た機械工場です.
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この工場は4枚の壁には洗面台や棚がモールドされていて,室内に置く工作台,炉,ボール盤,旋盤,ボンベなどがセットされています.
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これがキットの中身です.単体で手に入る工作機械のミニチュアと比べるとモールドが多少甘いですが,十分に使えるので,機械類を集めたいのなら一度に揃うお買い得なキットです.
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これはレイアウトの片隅に佇む氷貯蔵庫(Ice House)です.味わいのある小さな石造りの建物です.
 
次はモジュールの中のはめ込み用シーンとして作ったものです.
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建物の複合からなるTrackside scenesシリーズの製材所(Tie and Plank Mill)です.
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丸のこから,スチームエンジン,ベルトコンベアから処理槽まですべて揃っています.
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このほかにも組み立てたものや仕掛品がありますが,どれも小さいながら味わいのある優れたキットです.モールドには歪やずれがあるのですが,配電盤や放置されている小道具など,盛り込まれているものは相当細かいです.
ウッドランドは最近少し大きいレジンモールドの完成ストラクチャーを展開していますが,今までのメタル物も継続しているようなのでありがたいです.


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Polaの鉱山用ストラクチャーキット [HO-9mm]

【Karat Creek Mining Co.のプラストラクチャー】
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屋根裏の収納スペースを整理していて,奥にしまわれていたレイアウトを引っ張り出してみました.鉄道模型趣味誌1995年12月号(TMS 606)に掲載されたHO-9㎜のレイアウトKarat Creek Mining Co.(からくり鉱業)です.レイアウトとしては初めての投稿作品で,他にはふたつHO-9㎜のレイアウトを残しています.
サイズは465x846㎜でシノハラの組線路を主に使った待避線と側線がある構成です.曲線半径は150㎜,ポイントの分岐半径は200㎜.パネルは厚さ15㎜の合板で,全体を脚で浮かせて谷をティンバートレッスルで渡る構成になっています.
このレイアウトではPolaの鉱山ストラクチャーキットを多数利用しており,今でも手に入る定番のものばかりです.そこで今回はこれらのストラクチャーキットのことをまとめてみました. 
 
【Polaの鉱山ストラクチャー】
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▲レイアウトの鉱山の部分でPOLAのNスケールのストラクチャーを3点使っています.右側は二つのキット,Old Gravel PlantとOld Quarryを組み合わせたものでシュートは実際に動作します.山を隔てて.Old Coal Mineがあります.
 
これらのキットは特に好きなので未組立のものを確保しています.POLAは現在Fallerに組み込まれて入手できますが,Model Powerブランドで米国で販売されているものも入手しやすいです.
 
【N Old Gravel Plant】
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▲NスケールのOld Gravel Plantです.POLAはFallerに吸収されたのでこれは現在のパッケージです.
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▲レイアウトでは加工してホッパーを可動にしていますが,本来は3連のダミーです. 
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▲POLA,FallerそしてModel Powerの組み立て説明書です.
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▲この木造ホッパーの形は特に好きでOスケールの自作でも形の参考にしています.右はプラ板製の可動ホッパーでなべトロの積み下ろしに利用しているもの,左側はバルサ製でレイアウトに組み込まれたものです.
 
【N Old Quarry and Ballast Works / Coal Depot】
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▲小屋上からシュートする建物です,手持ちの未組立はModel Powerブランドで,こちらではBlue Coal Depotとなっています.
 
次に述べるようにHOスケールのもありますが,Nスケールがナローゲージによく合います.しかしこれは私のアイデアではありません.TMSに掲載された中尾豊氏のレイアウトプランにそれらしいイラストがあるのです(ナローゲージモデリングp141,機芸出版社).
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▲POLA(左)とModel Power(右)の説明書を並べてみました.
 
【HO Old Quarry and Ballast Works / Coal Depot】
このキットはHO版があり,こちらのほうが原型だと思います.
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▲左側はQuick,右はModel Powerの説明書です.
 
Quickは後にPOLAに引き継がれました.最初に手にしたのはQuickのキットでしたが,これには電磁石がついており,実際にバラストを落とせるようになっています.後のPOLAでも電磁石が別売りされていた時期があります.さて,Quickのキットのディテールはお粗末なものでした,木目の筋は浮き上がっていて,屋根も雑なつくりで見劣りしたので廃棄してしまいました.POLAになって現在のディテールになりました.
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▲このHOキットはサンセットマウンテン鉄道(鉄道模型趣味2006年4月号,TMS751)に配置しています.
 
【HO Old Coal Mine】
線路をまたぐ炭鉱設備のキットですがHOの方から紹介します.
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▲Model Powerのパッケージです.
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▲最近Fallerのパッケージが登場しました.
 
手元にはFallerとModel Powerのものがありますが,もちろん中身は同じです.このキットですが,Jack Work氏がModel Railroader誌1959年10月号から連載した自作記事がプロトタイプということです.ですからドイツ製とはいえ,もともと輸出向けだったのでしょうか?そういえばPOLAの古いカタログには載っていません.日本型のHOレイアウトでも雑誌等で活用されている様子をよく見てきました.下部は本線とし,上の建物の中になべトロの編成を通すのに向いたサイズです.まだ組み立てたことはありません.
 
【N Old Coal Mine】
これもNスケール版があるので,からくり鉱業で使ったのはこのサイズです.
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▲Model Powerのパッケージです.
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▲Old Coal Mineのキットは短縮して使いました.ただし,HOスケールとしては少し屋根が低いように思えたので,かさ上げして利用しました.
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▲3つのキットを組み合わせて,このシーンができました.
 
【機関庫】
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▲鉱山用に限定したものではありませんが,レイアウトにはナローのクリッター用に広く利用されている機関庫を設置しました.前述の中尾氏のプランにもそれらしいものが描かれています.
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▲キットは機関庫というより,このようなHOのハンドカーと周辺設備からなる構成Trackside Maintenanceで出回っていることが多いです.
 
ストラクチャーキットには様々な使い方や配置を考える楽しみがあります.今回紹介したキットはときどきレイアウトで見かけることがあり,使い方や配置の個性ににんまりとしてしまいます.

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