SSブログ

先駆的な前輪駆動アメリカ車の模型:ToronadoとCord [car model]

ディアゴスティーニ(Deagostini)は1/43のアメリカンカーコレクションを展開していますが,先日書店に寄ってみたらオールズモビル・トロネード(Oldsmobile Toronado)が平積みになっていたので手に入れました(2022年10月25日発売).
PA265425m.JPG 
1966年式のToronadoです.この車は米国で大戦後初の前輪駆動車として注目されました.構造的に画期的なモデルですが,なんといっても人目を引くのはこのデザイン,まるでコンセプトモデルがそのまま市販されたようです.
PA265422m.JPG 
PA265423m.JPG 
アメリカ車黄金時代の名車です.フルサイズのパーソナルラクジュアリーカーとして位置づけられています.それにしても前輪駆動を導入するのならもう少し実用モデルを土台にすればよいものを,このような車種が選ばれたのが意外です.GMのパーソナルラクジュアリーカーとしてはキャデラック・エルドラードがトロネードより1年遅れて前輪駆動になり,ビューイック・リヴィエラはかなり遅れて1979年式から前輪駆動になっています. 1971年にはフルモデルチェンジがおこなわれ,キャデラック・エルドラードの姉妹車のような位置づけになり,斬新さはなくなってしまいました.トロネードは4世代続きますが,最後はダウンサイズして1992年型が最後となります.なおオールズモビルブランドはGMの中で一足早い2004年に終了となりました.
PA265419m.JPG 
こちらは2年目1967年式モデルです.グリルのパターンがかわり,格納型ヘッドライトのカバーが面一になったほかは外観上あまり変わっていません.
PA265420m.JPG 
1967年型オールズモビルのパンフレットです.この第1世代のモデルは1970年型まで続きますが毎年少しずつデザインが変わっていきます..
 
さて本題の模型の話です.
トロネードの初年1966年式の1/25キットはJo-Hanから発売されました.その後このキットがどのような展開になったかはこちらのサイトの系譜図が参考になります.
翌1967年式はJo-Hanからではなく,同社からOEM供給されたAMTと独自金型のMPCの2社から発売になっています.
IMG_3973.JPG 
これは1967年式のMPCのモデル(友人所有)です
IMG_3963.JPG 
わたしの友人が組んだ1967年式のMPCのモデルです.背後にあるのはAMTの1966年式ビューイック・リヴィエラ,優美な2台です.
PA265418m.JPG 
ところでJo-Han製品は1968年式以降,再び自社ブランドで継続されました.第1世代最後となる1970年式モデルはその後1974年にUSA Oldiesシリーズとして復刻されており,それを手に入れることができました. 第1世代Toronadoは1968年に前面の形状がかわり,1969 年に後面の形状がかわります.
PA265430m.JPG 
未組立ですが,キットの車体です.前面はヘッドライトが格納されない固定型になりました.
PA265432m.JPG 
登場時と比べてリアクォーターパネルの形が変更されました.
PA265434m.JPG 
66年式と70 年式を比較するとリアクォーターパネルの変化がよくわかります.普通のアメ車に近づきつつあるのがわかります.初期モデルに未練があったので1/43モデルを手に入れたというわけです.
 
模型のモールドは同一世代ではモールドを修正しながら利用しているようです.したがってJo-Hanの場合は最終年の型だけが再生産できたことになります.その後Jo-Hanのモールドは廃棄されてしまい存在しないようです.またMPCのモールドはカスタムカーとして改造されました. 
したがってこの年代のモデルが現在AMTやMPCのブランドを運営するRound2からどんどん復刻されている中で初代トロネードの復刻は期待できないことになります.
PA265426m.JPG 
1/64では Johnny Lightningの’66式モデルがあります.
PA265428m.JPG 
フードがあき,エンジンの特長的なエアクリーナーが見えます.
 
トロネードのことを大戦後初といいましたが,それは大戦前に前輪駆動の先駆けとなった車があるからです.それはAuburn Automobileのコード(Cord) 810/812です.前輪駆動のみならず格納式ヘッドライトも初の試みだったようです.
PA265439m.JPG 
Lindbergのキットの箱には実車の写真が載っています.当時にしては格納式ヘッドライトを備え,フットステップなしの低床構造,排気管がエンジンフードの脇から出ているなど,デザインは極めて斬新です.1936 年のCord810,翌1937年に改良モデル812を投入しますが,このシリーズが継続されることはなく生産を終了しています.
PA265441m.JPG 
このキット,ビンテージキットに関心にある方以外は手を出さないほうがいいです.Pyroが1957年に発売したプラモデル初期の大味なキットで,プロポーションは今一つみたいです.パーツを並べてみました.クロームメッキパーツは後から枝ごとメッキしたようで,エンジンは唐竹割の2パーツのみで総メッキです.
このキットの製造年譜はこちらのサイトにあります:
PA265440m.JPG 
この模型を組むのなら現在は入手がむずかしいかもしれませんがMonogramの1/24キットがいいでしょう.Revellから再販されるかもしれません.弟が組んだことがあり,説明書だけ残してあります.
 
アメリカの前輪駆動の先駆けとなった2台の車を模型としてとりあげましたが,どちらも特徴的なデザインで興味は尽きません.


nice!(0)  コメント(1) 

nice! 0

コメント 1

小西彰

鉄道に関連するものだけじゃなく、車も各種のモデルを持ってるんですね!
置く場所・管理が大変!
by 小西彰 (2022-10-31 08:27) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。