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回路キットで組んだミュージックシンセサイザー(回想) [sound, music]

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70年代後半はアナログのミュージックシンセサイザーが発展した時代でした.実験的な興味があったので製品は買わず回路キットを手に入れてそれらしい楽器の形に仕上げました.
 
アナログシンセサイザーの構成は人間の発声に例えるとわかりやすいと思います.信号生成(喉)→フィルター(口腔など)→アンプ(呼気)のモジュールからなり,それらを過渡信号(エンベロープ)や低周波信号などで変調する構造になっています.
当時の製品のことを少しあげておきます.
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これはその先駆的なメーカーであるMoog社製品のヤマハの輸入カタログ(1976年板)です.表紙はパッチコードで結線を行うモジュール構成のsystem55で価格は600万円となっています.冨田勲氏がオーケストラ作品を発表していた時期で,単音を重ねていくので作品の制作には大変な労力を要したと思います.
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Mini Moogはロックやジャズのステージでも使えるコンパクトにまとめられた機種です.
日本ではRolandやKorgが製品を展開していた時期です.当時注目していたKorg MS20は最近キットの形で発売されたので手に入れたかったのですがスペースの関係であきらめました.
 
そのころアンプなどの電子回路キットに親しんでいたので電子工作雑誌にシンセサイザーのキットの広告を見つけて早速購入しました.WAVEKITというブランドで,わたしが手に入れたのはワンボードの基板と部品から成るWAVEKIT ワンボード・マイクロウェーブ・シンセサイザです.エッチング板にキーボードパターンがついていましたが,ちゃんと使うにはキーボードは別に入手する必要がありました.また後にはパネルが発売されたようです.工作趣味としてはどのように操作パネルをまとめるかが楽しみでした.
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これがそのブロック図で発振器(VCO)2基,ノイズジェネレータ,フィルター(VCF),アンプ(VCA),エンベロープジェネレータ(ADSR, AR)で構成されています.
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キーボードは中古のオルガン用を入手し,木箱に収めました.
木板には木目シールを施し,当時よく見られた電子鍵盤楽器のような外観にしてみましたが,電源部分の蓋は未完のままとなりました.
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つまみやジャックが並ぶパネルはアルミパネルがベースです.しかしそれを塗装するのも大変なので得意なプラバン(スチレンシート)を貼っています.プラバンを黒塗装し,インレタとテープライニングを施し,その上から剥げにくいようにクリアラッカーを吹いて仕上げています.写真がこれしか残っていないのが残念です.
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これがパネルのつまみ配置図になります.
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配置図をコピーしてレジストレーションチャート(設定を記入するシート)として使いました.
 
肝心の音ですが,フィルターの効きがいまひとつだったことや温度補償をしていないので音高が安定しないなど,実用としては改善の余地がありました.単音楽器なので音づくりには多重録音用テープレコーダーなどが必要ですが,そこまでは踏み込みませんでした.そのまま活用することもなく,処分してしまう結果となりました.
 
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電子音楽機器に関してはほかにコーラス効果の回路キットを組んでいます,写真下方にある箱がそれです. BBDという素子でディレイ回路が組まれていて,多少ノイジーなのですが,効果は十分に楽しめました.
 
その先自分がシンセサイザーなどの電子音楽技術を教えることになるとは当時考えもしませんでした.そのことがわかっていれば捨てなかったのでちょっと残念です.
 
最近またアナログシンセサイザーが注目されていますが,当分はソフトウェアによるシミュレーションで済ますことになりそうです.


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