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初めての専門誌で見た鉄道プラモデル [model railway]

【初めて専門誌を手にして】
小学校高学年になって,Oゲージのセットを引っ張り出すこともなくなりました.アメリカ滞在中に近所のお宅の地下室でみたHOのレイアウトに憧れ,近所のユニバーサル模型のショーケースにならんでいた16番の機関車にため息をついたものの,自分で作れるというレベルでもないし,完成品は高価なものなので鉄道模型からは遠ざかりプラモデルに熱中していました.そんな中,父と立ち寄ったデパートの模型売り場に鉄道模型趣味誌が置かれていました.雑誌一冊ならいいだろうと買ってもらいました.
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それがこの鉄道模型趣味(TMS)162(1961年12月)号です.しかしこの雑誌の内容は当時の自分にはレベルが高すぎました.跨線橋,木造国電,ロッド式スイス型電機,神戸市電と並ぶ製作記事にはほとんどついていけず,“マニアのたわごとを読んで”やミキストなどのエッセーも全く意味がわからずという状態でした.雑誌“子供の科学”の工作ページが自分にはちょうど良かったのです.その後TMS誌を手にしたのは10年ほどしてからでした.しかしその中で唯一関心をもって眺め続けた記事がありました.
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中村立雄氏による“5種の英国型貨車”です.内容はAirfix(エアフィックス)社のOOスケール貨車のプラキットの組立です.カツミの12㎜車輪に取り換えるだけで走行は問題ないらしいです.鉄道模型がプラモデルとしてあるイギリスの現状を随分うらやましく思いました.本文を読むと,キットマスター製がいくらかおもちゃ臭いのに対し,エアフィックス製品は良くできているとあります.そして注目したのがサドルタンクにひかれる編成の小さな写真です.説明によるとキットマスターのサドルタンクらしいです. 写真が小さく粗いので想像するしかありませんが,おもちゃ臭いと書かれていてもどうしても気になります.ディスプレイモデルとして是非手に入れたいと思いました.
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同じ号にレールバスのプラキットの広告がでていました.後にこれもAirfix(エアフィックス)のものであることがわかったのですが,近くの店ではみかけませんでした.
 
【Airfixのプラキット】
大学生になってAirfixのカタログを手にすることができました.するとKitmasterのものと思しきサドルタンクが貨車とともに載っていました.
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どうやらAirfixが引き継いだようです.Airfixの製品は広範囲に出回るようになりましたが,手に入れることができたのはブレークバンとタンク車で,サドルタンクは見つけることができませんでした.
さて,ブレークバンのほうですが,これこそ私のフリーランス指向の第1作になるとおもいます.ブレークバンからイメージが湧いてきて箱型木造電機に改造することにしたのです.その頃はつぼみ堂の小さな機関車と16番の組線路を持っていました.台車はカワイモデルのブリル単台車をプラの床板に固定して一軸駆動で走るようにしました.窓とドアをプラバンで作って密閉型に改造してパンタグラフを載せたのです.そのあとNゲージを始めることになって,この貴重な改造1号も忘れたまま捨てられてしまったようです.
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写真もありませんが,古いノートにその車輛の小さなイラストが残っていました.作り直してもいいような気がしています.
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一方タンク車の方はいまだに組み立てないまま残っています.右の組み立て済みの無蓋車は数年前Dapolのブランド(後述)で手に入れて組み立てたものです.
 
【サドルタンクのプラキット】
さて,サドルタンクのほうですが,後にこのようなキットを見つけます.
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ある模型店でOM(オリエンタルモデル)の古いプラキットを放出していたので手に入れたサドルタンクです.中をあけてみてこれはキットマスターのサドルタンクのコピー品だと確信しました.このキットはゼンマイ駆動にするための下回りがオプションとして用意されていて,有蓋車も一台付属していました.
そしてようやく今年(2018)のJAMコンベンションのメディカルアートさんのブースで, Kitmasterのサドルタンクキットに出会えたのです.
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現在はDapol 社が復刻キットとして販売しており,KitmasterからAirfix,そしてDapolへと型が継承されたことになります.なおオリジナルのKitmasterの製品についてはこちらに詳しく書かれています.
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OM(左)とKitmaster(右)を比較しています.もともとKitmasterのものは今日の水準では出来がいいとはいえません.しかしサドルタンク下の軸受バネなどがしっかり表現されているのに対し,OMの方は最初から雑な彫りです.ブレーキシューにも同様の差が見られました.
 
【プラキットと動力車を比較】
このサドルタンクはPUGと呼ばれる典型的な英国型ですが,プラキットではなく,OOの入門機としても広く知られるものです.
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左側がOOの動力機,右がプラキットを積み上げたものです.モールドは異なりますが,ほぼ同じ寸法で設計されています.動力機のほうは当初Dapol製でしたが,後にHornbyブランドになっています.
つまりPUGのプラキットはAirfixからDapolへ,動力車はDapolから現在Airfixブランドを持つHornbyに移ったことになります.
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この動力PUGの下回りは何度もOナローの下回りに利用してきました.右がプラ板で上回りをつくったOナロー機のひとつです.この製作記事はこちらになります.
 
***
 
はじめての趣味誌でふと目に留まったプラモデルとのつながりを綴ってみました.


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コメント 2

Tad

懐かしいですね。この号の次の新年号がTMS初のカラー表紙(北山麓鉄道)でした。私は160号からですが,この頃のは記事も表紙もよく覚えてます。
中村さんの記事でキャトルワゴンが気に入って,新橋にあったステーションホビーに買いに行って組みました。無塗装でも問題なく(車体は薄茶色だったかな),扉がキッチリ開け閉めできたのが嬉しかったな。
これをロウソクの煤でウェザリングしたのが,私のウェザリング事始め。ちょっぴり炎で車体を溶かしましたが…。
組んでちょっとしてから,どうしてもナローの車輛が欲しくて,プラ車輪をカットして木の角材に錐であけた孔に差し込んでゲージを10.5ミリにして,オオ,ナローだ!なんて喜んだもんです。ゲージさえ変えればナローだなんて,えらく幼稚でしたね。

エアフィクスって聞くと,このことを思い出しますが,半世紀以上前の話。若い時のことは忘れないジジイのたわごと,でした。
by Tad (2018-09-02 17:54) 

nkoizumi

Tadさんもこの記事に関心を持たれていたとは意外でした。しかもそのキットでウェザリングとゲージ変換を体験されるとは。プラキットはやはりビギナーにとって良い教材ですね。
by nkoizumi (2018-09-02 21:47) 

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