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仕掛けがある鉄道模型設備(Operating Accessory) その3  [model railway]

[Barrel Loader Building,  Lionel  O scale]

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Lionelは3線式Oゲージで知られるメーカーで、何度か経営危機になっていますが経営者が替わって存続しています。古いカタログによると、様々な仕掛けをこらしたストラクチャーやアクセサリがあり、この手の元祖といえそうです。トイトレインの範疇で扱われることが多いので、模型雑誌に取り上げられる機会は少ないのですが、新しいストラクチャー類はスケールモデルとして十分な品質があるのでいくつか入手しています。そのうちの一つがこの樽落とし場です。

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はめ込み構造なので、普段は分解して箱にいれてあります。スプレー缶で塗装しています。

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左側にレバーがありますが、それを動かすことによって人形が小屋を出入りします。

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そして一つずつ樽を落とすしかけです、形のまとまりがいいので時々箱から取り出して組み立てていますが、スケールモデルとしての利用価値は十分あります。Oスケールだと大きさとしてもレバーを操作するのに適しているサイズのように感じます。

 

このキットの製造地はヨーロッパやアジアではなくアメリカのようです。1987年、Mt. Clemens, Michiganとなっていて、カープラモデルのMPCキットの箱に所在地として記載されていたことを思い出しました。ちょうどMPCもLionelもコングロマリット時代の食品会社General Mills(ハーゲンダッツなどのブランドを所有)に買い取られていた時期で、MPCのオーナーだった方がLionelを立て直したとされているので、その時期の製品と思われます。


 

アクションはありませんが同時期の製品である貨物駅もよくできていて、しかも分解して片づけられるのが便利です。その後の製品であるデンマークHeljanのOEMによる変電所のキットなどもよくできていて、車両と違ってストラクチャー類はスケールモデルとして十分に使えるものがそろっています。

 

[Disaster Crossing, Bachman HO]

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Bachmannは多くのストラクチャー類を出していますが、仕掛けのあるものはそれほどありません。

これはその名もDisaster Crossing、故障して線路上に立ち往生した車をレッカー車が救助するというものです。

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仕掛けはレールの給電が別配線で絶縁されていて、車を線路から離れる方向に追いやるとスイッチが入るというものです。

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赤い車を線路上に動かし、列車が止まったらレッカー車をバックさせて引き上げれば列車走行が復帰するというものです。アイデアはおもしろいですが、あまり使う機会はなさそうです。

 

[Operating Log Dump Car, AHM HO]

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こちらはAHM(Associated Hobby Manufactures)の香港製品です。現在は存在しませんが、世界各国のメーカーから製品を調達して販売していたブランドです。このLog Dump Carは木材の貨車への積み込みだけではなく、積み下ろしもできるリバーシブルな仕組みになっている点がユニークです。

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荷台がリフトする貨車と小屋内の照明用の電球が付属します。

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荷下ろし場はレバー操作で持ち上がるとともに傾いて丸太を貨車に積み込まれます。

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逆に小屋に仕組まれたレバーによって貨車の荷台の一部が転倒して丸太を戻すこともできるわけです。AHMからはTYCO製品に似た仕掛け設備がいくつか出ていましたが、他社に引き継がれた製品はなさそうです。

 

[Revolving Beacon, Pemco HO]

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Pemcoの灯台で照明がゆっくり回転します、Pemcoはあまり知られていないブランドですが、カナダで展開されたAuroraブランドの機関車製品が同じ内容らしく、プラモデルメーカーである同社が支援していたようです。


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回転のしかけは簡単で、電磁石にかぶせられたレンズがついた筒が、ゴム脚の傾きでゆっくりと回転します。

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赤と緑の照明がゆっくりと動いていくのを眺めるのも楽しいものです。

 

3回に分けてとりあげた仕掛けのある鉄道設備のご紹介は以上になります。いずれもアメリカ市場向けの製品でしたが、ヨーロッパでは鉱石のシュートやベルトコンベアがあり、説明書が残っていますのでいずれ紹介したいとおもいます。日本では玩具の範疇ですがプラレールの仕掛けが面白いので、それをスケールモデルに応用する手があるかと思います。

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仕掛けがある鉄道模型設備(Operating Accessory) その2 Life-Like製品 [model railway]

今回とりあげるのはLife-LikeのHO製品です。Life-Likeは普及型の鉄道模型のブランドで、前述のTYCOやModel Powerと競合する製品を出していました。現在はWalthersのブランドのひとつとして存続しています。手元にあるのは中国で生産されたもので、塗装仕上げなどと手作業が入ったはめ込み式のセットになっています。
 
[Logging Mill]
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これはかなり大きい木材集荷場になります、シュートの高台、スロープ、建物本体が分割していて専用の無蓋車が一台付属しています。
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シュートの高台に載せた木材は、左のレバーを引くことによりスロープを滑り、建物の中から転がり落ちて貨車の荷台に載せられます。さらに右側のレバーを引くと荷台が転倒し、川に落とされるというものです。川は塗装による表現で、可動する堰がついています。なにがしたいのかよくわからないからくりでもあります(笑)。ただ崖の縁とかシーナリーの中にうまく溶け込ますことができれば見栄えのするストラクチャーになるでしょう。
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反対側から見たところです。フォークリフトなどがあります。
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裏側からみたところになります。レバーの動作で鉄棒が回転するしくみです。
 
[Gravel Unloader]
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積荷の鉱石を降ろす仕掛けです。小屋と鉱石の受け皿のセットで専用の無蓋車と砂利がつきます。
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しかけは簡単です。レバーを動かすと専用の貨車の荷台が傾き、傾きに合わせて片側が開くという仕組みです。
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装置としては簡単ですが、この貨車はなかなか形がよく、使い道があります。値段は貨車一両と変わりがないので、5セットほど入手し、錆色に塗装して電気機関車にひかせました。
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また、この形態の貨車はOナローとしてもそのまま使えそうなので、転用を考えていました。ただし、ホーンフック(X2F)カプラーがマウントされた台車は回転が悪いので、いずれ交換する必要がありました。結局この構想は実現することなく今日に至り、現在は未塗装の2台を保持しています。
 
[Crossing Gate]
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列車通過時に遮断器が下りる踏切です。
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電動の仕掛けではなく、車両の重量で遮断器が下りる単純な構造です。
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信号は点滅しませんが、車両が通ると敷板を押し下げ、それを受けて遮断器が下ります。目の前を車両が通る直前にしか遮断器はおりませんし、片側にしかないのも危険極まりないです(笑)
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裏側です。中央の線路下の敷板が車両重量で沈み、手前にある棒が遮断器を動かす仕組みです。
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遮断器の手前に動かすための棒があるのがわかります。遮断器が両側にあればそれなりに使えそうな設備です。
 
Life-Likeのケンタッキー・フライド・チキンなどのストラクチャーキットは今でも流通しているようです。


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仕掛けがある鉄道模型設備(Operating Accessory) その1 TYCO製品 [model railway]

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模型車両の走行だけではなく、動く仕掛けのあるストラクチャーや設備を眺めるのもなかなか楽しいものです。いまならDCCで様々なアクションをプログラミングとモーター制御で作り出すことができますが、ギミックとも呼ばれるちょっとした工夫による機構をみると思わずにんまりしてしまいます。ライオネルは古くからOスケールのストラクチャー等にアクションを入れていたようで、それらからヒントをもらったと思しきものがHOスケールで製品化されてきました。HOでみられる製品はプラスチック製の完成に近い状態で、はめ込みで簡単に分解・組立ができるものです。1989年ごろに滞在した米国で見つけ次第集めていました。実際に組み込んで活用することはありませんでしたが、はめ込みの部分は外して箱にしまうことができたおかげで、今日までそのまま残っています。
 
はじめに紹介するのはTYCOの1980年代のHO製品です。TYCOは鉄道模型の老舗Mantuaのブランドでしたが、幅広い分野に進出し、LEGOの互換品やHOレーシングカーなどで知られることになります。鉄道模型も普及品を展開していましたが、食品会社の傘下になり、その後マテルに買い取られて現在ブランド名は使われていません。
米国市場向けの手軽なストラクチャーのプラキットは数多くあります。そのほとんどは海外で製造されてきましたが、系統は大きく二つに分けられます。一つはPola, Faller, Heljanなどのヨーロッパ製品で、米国市場向けに設計されています。これらの製品はTYCO, AHM, Model Power, Con-Cor等のブランド間で型が往来しています。そしてもう一つがおもに香港でつくられていた独自製品です。TYCOのプラキットは欧州製品が多々ありましたが、仕掛けストラクチャーはすべて香港製です。香港製のものは独自設計でパーツに部分塗装などの手作業が加えられているのが特徴です。また他社ブランド間で融通されることもなく、その素性はよくわからないままです。TYCOブランドが出回っていない現在、ヨーロッパ製であったストラクチャーキットは他ブランドでもみかけますが、今回紹介する仕掛けのあるストラクチャーや設備は残念ながら最近は目にすることがなくなりました。
 
[Crane Loader Set]
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トレーラートラックで運ばれてきた土管を貨車に積み込む作業を実現しています。手動でつまみをまわすとクランク機構によりクレーンのブームが出荷エリアに移動します。フックはレの字型の針金で出荷エリアに到達すると角度が変化して土管をすくいあげます。(写真の貨車は付属のものとレタリングが異なりますが形はおなじです。)
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回転により土管を釣り上げたブームは線路側に移動します。
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針金のフックは線路側でも傾くようになっているので土管は荷台に滑り落ちます。
奥に見える黒いダイアルを一方向に回転させることで連続的な作業ができます。
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裏側には単純なクランク機構があります。セットが軽い割には回転が重いので、土台を固定しない限り操作はしにくいです。
 
[Log Loader]
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ブルドーザーの前進で丸太を貨車に落とし込む動作をします。簡単な動作ですが、なかなか趣があります。
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赤いボタンは空気を押し込むポンプで、空気圧を使ってブルドーザーを前進させる単純な構造です。
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裏側です。黒枠で囲んだ箇所が蛇腹になっていてボタンを押すと伸びてレバーを動かします。スロットにはブルドーザーが差し込んであります。ばねが入れてあるのですぐに復旧します。ブルドーザーで押し込むというのはシンプルですが、丸太以外にも応用できます。Oスケールのブルドーザーを利用して土砂を落とし込むような仕掛けを自作してみたいと思っています。
 
[Pipe Loader]
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同じく空気圧で作動するのがこの土管積み込み設備です。
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貨車を移動させる必要がありますが、一つずつ落としていくことができます。
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真鍮の管に先端にキャップ(赤い枠)をはめてボタンを押すとキャップがあがり、突起を押し上げて土管が滑り落ちる仕組みです。
 
[Pipe Dump Set]
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土管下ろしには貨車の荷台が転倒する単純なセットもありました。残念ながらその貨車が見つからないので貨車の転倒防止のためのスリットがついた枠と土管受けだけをお見せします。
 
[Unloading Mail Car Set]
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郵便貨車から貨物を下ろすセットです。郵便のほか、一般貨物仕様のセットも存在したようです。これまでのセットとは異なり、電磁石を使った仕掛けになるので、パワーパックの交流端子とつなぎます。
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郵便色の貨車と荷下ろし場がセットになっています。
郵便荷物は四角い小さなブロックで、屋根のハッチからいれます。いくつか貯めておくことができます。
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スイッチを押すと電磁石が働き、貨車内の人形が動いて荷物を一つずつ外の枠に落としていくという仕組みです。
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建物に収まったスリットに金属板(青枠)が二本見えています。貨車には電極が2本(赤枠)突き出ていて、これがスリットの金属板と接することによって貨車内の電磁石が作動するわけです。電動式は配線の手間がかかるので、扱いやすいとは言い難いです。
 
[Giant Crane]
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ヤードの2線をまたぐ橋上のクレーンです。すべて手動で操作します。5通りのアクションとあるのは、クレーン本体の横方向の動き、前後の動き、360°回転、ブームの上下、フックの上下、です。
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ブームの上下とフックの上下はそれぞれ丸いつまみを回して動かします。残念ながらフックを紛失していまい、動作を確認していません。
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付属の鋼材セットには上下に磁石がついていてフックで釣り上げ、上げ下ろしの位置である貨車の荷台下面とヤードの荷物置き場は鉄板になっています。電磁石は使っていないので上げ下ろしにはコツがいりそうです。
 
[Ore Unloading Trestle Set]
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中身が手元にないので説明書だけの紹介になります。専用のホッパー車の底は開閉するようになっていて、線路の内側に設けられたガイドにそって底が開き、鉱石を落とすというセットです。線路4本と勾配を支える架台がセットになっています。専用のホッパー車は典型的なアメリカ型で、レイアウトに取り入れたいと考えていましたが、線路、架台、貨車をそれぞれ別に保管していたため残念ながら行方不明です。
 
手持ちのTYCO製品は以上です。これらを活用した荷運びゲームができる貨物鉄道を設営してみたいものです。マニア向けではなく一般向けに鉄道模型におけるアクションの幅を広げようと展開したTYCOでしたが、普及路線を目指した米国の各社ともども今は市場から姿を消してしまい、存続しているのはBachmannぐらいでしょうか。


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