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トラクター動力の機関車 Fordson powered locomotive [O-16.5mm (On30, O16.5)]

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フォードソンのトラクター動力を用いた機関車です。
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McKenzie Iron & Steelから出ているメタルキットで、主要パーツは黒染めされ、フレームとエンジンブロックが組まれた状態の仕掛品を譲り受けていました。軸距31㎜のパワートラックが動力でOn3(19ミリゲージ)の純正とは違う車輪がはまっていました。車輪を押し込んで16.5㎜ゲージにしてみましたが、満足に走りません。片方のギアが割れているようで、純正の車輪に入れ替えました。このキットブランドは産業機械のメタルキットを数多く出していて、フォードソンのトラクターに関してはエンジンのほか、それを利用したキットがいくつか用意されています。エンジン回りの部品は共通なのでそれぞれのヴァリエーションによって加工が必要です。機関車の場合はパワートラックを動力にする都合上、底面を削る必要があり、仕掛品は加工済みでした。
 
FordsonはヘンリーフォードがT型を発売したのち、独立したトラクターメーカーとして立ち上げた会社ですが、後にフォード社と一体になるのでこのブランドのトラクターは初期の製品だけです。汎用性の高い動力として産業用に利用されたようで、Brookvilleなどの内燃機メーカーが動力に採用していました。日本にも導入されており、名取さんの著書”森製作所の機関車たち(NEKO、2000年)”に詳しく書かれています。
 
このキットは1枚のペン画をもとに設計したので、それ以上の詳しいことは知らない、とラベルに書かれています。つまりワンオフの鉄工所製機関車と考えていいようです。箱に中には説明書が入っていなかったのですが、ウェブサイトで解像度の低い展開図を見つけたので参考にして完成させました。
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これはキャブ前後の妻板ですが、メタルの床に固定するために真鍮線を接着しました。
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真鍮線を差し込んで固定します。
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エンジンだけのキットも未開封のまま手元にあり、そちらには実物のスケッチをもとに詳しい解説が入っていたので参考にしました。スパークプラグの配線まで指示されています。ファンが見当たらなかったのでベルトとともにプラで作りました。
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エンジンを載せて仮組してみました。エンジン部の前後の位置決めをする手がかりはトランスミッション出力軸と動輪軸がチェーンカバー(まだ未装着)の切り込みに合わせて斜めにつながることだけです。
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エンジンが載る関係で、パワートラックは中央の突起を削り落とす必要があり、ねじで固定するわけにはいきません。そこで帯板を渡して両側でねじ止めすることにしました。On3にも対応するフレームですが、かなりぎりぎりで、On30でちょうどいいくらいです。車体幅は30㎜です。
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エンジンブロック、ラジエター、前妻板を瞬間接着剤で一体化し、妻板に付けた真鍮線を床板に差し込んで固定します。座席としてはベンチシートが付属していましたが。トラクター用の一人座席を使うことにしました。トラクターエンジンの動力を車軸に伝えるチェーンカバーは床板から浮いてしまうのでプラアングル(白い部分)を床板に接着して隙間を埋めました。
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エンドビームはピンリンク用のカプラーポケットが付いたものとナックルカプラー用の切り欠きになったものの2種類が用意されていて、組み上げ済のフレームには前部にピンリンク対応、後部に切り欠き付きのものがついていました。したがって写真にならべた2種類のエンドビームは余ったパーツです。
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ナックルカプラー用といってもOn3基準のようで位置が高く大きいです。プラ板で蓋をしていつもと同じHO基準でカプラーを付けました。
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屋根の補強板としてプラ材を渡し、エンジンを含む上部を一体化しました。
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屋根板として金属の波板がついていましたが、加工しやすいプラの波板に替えました。これでほぼ完成です。この黒染め状態もなかなか趣があります。
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フレームはVallejoのハルレッド、ボディはタミヤの明灰白色の水性塗料をエアブラシしました。
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Fordsonの陽刻が読めるラジエターです。
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ヘッドライトとタイフォンを取り付けました。
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波板の屋根は黒色塗装後に銀色のドライブラシ、茶系パウダー仕上げです。
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フレーム、ボディは艶消しトップコートを吹いたのち、ウェザリングパウダーを適所にすり込み、再びトップコートで仕上げました。黒染めの表面に直接塗料を吹いたので塗膜は弱く、ボルトの頭が銀色になっているのは作業中に自然になった結果です。
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前妻板には窓ガラスを入れていますが、残り3面開放なので役にたつのかどうかといったところです。
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開放的な車体は好きですが、走行中はフィギュアが欲しいところです。
トラクターを動力にする機関車ですが、フォードソンにこだわらなければトラクターの1/43ダイキャストモデルを流用することが考えられます。精巧な割には安価な製品が数多くあるので構想中です。


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車幅を狭めたり、広げたり [model railway]

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自由形の日本型トロリーラインをやっていたころ、市販のキットを加工して、想定した車輛規格にあった車両にするということを試みました。車輛の車体幅を狭くしたい場合、俗に唐竹割というのがあります。よく知られた作品としては赤井哲朗氏がキハ02を縦割りにしてナローのディーゼルカーに仕立てた作品(機芸出版社ナローゲージブック1所収)があります。最近の作例では雀坊さんの“ねずきゅう”http://jumbow.main.jp/nezukyu/ がプラ車体を幅狭加工しています。これらの加工は結構技術がいります。しかし、真鍮製のキットの場合、手作業でできる技があるのです。
 
自由形のトロリーライン、松ヶ崎電鉄は郊外型の路面電車的な規格で進めてきました。路面電車のモデルとして手軽に手に入り、自由形として活用できるのがカワイモデルの2軸路面電車です。
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左側はカワイモデルの未塗装完成品を塗装したものですが、一時期、キットの形態で販売されていたので購入しました。しかし、この車体は幅が広すぎて33㎜ほどあります。標準的な路面電車として幅2250-2400㎜、1/80換算で28-30㎜を許容範囲としていたので、どうするか考えた末、端面に丸みをつけて幅を狭めることを思い立ちました。右側がキットを使って妻板を丸くカーブさせて幅を狭めたものです。
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妻面が丸く、ヘッドライトを窓下につけたスタイルは米国でも見られる形で、ボギー車として完成させる予定でしたが、このままの状態で放置されることとなりました。
 
では逆に車体の幅を広くすることができるのか?それも魔法があったのです!
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すでに箱組にしていたものにひかり模型の三重交通モニ221がありました。しかし、軽便鉄道の開業予定は当時なく、トロリーラインの郊外線車輛に転用することができないか、考えついたのが端面を絞った幅広化です。
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両端が絞られているスタイルは欧州でよくみられる形で、扉は中央に向かってスライドするという想定で窓一つ分のところで曲げました。こうして26㎜幅の車体が30㎜幅になりました。先の例と同じように窓下にヘッドライトをとりつけました。
屋根板は木製にして、厚みのあるものをつくっていますが、このまま放置となっています。
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幅を広くしたモニと狭くした路面電車をならべていますが、幅30mmで揃っています。
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側面の比較です。2輌を並べると高さや窓の大きさがかなり違いますが、こればかりは調整できません。
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カワイの路面電車キットはもう一つ未着手のものがあるので、それぞれ2輌ずつ仕上げる予定でしたが、ここで止まったままとなっています。その後、プラ板工作に慣れてしまったことが放置理由の一つですが、これらの製品の窓枠がプレス加工なので、メリハリに欠ける点も仕上げる意欲をなくした理由のひとつです。それでも完成をあきらめたわけではありません。組立の再開に備えて再び箱に収められたのでした。車体幅を変える芸当。プラ板工作では無理で、真鍮ならではのお手軽技法です。


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ヴァルカン風Cタンク Vulcan 0-6-0 [O-16.5mm (On30, O16.5)]

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またしてもレジンボディキットの蒸機を組みました。1908 Vulcan 12tです。
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新額堂さんで見つけたボディーコンバージョンキットでV.&T. Shops製です。V.&T. Shopsは古いガゼット誌に広告が載っていますが、現在は廃業しておりWebにもほとんど情報はなく、製作例も見当たりません。珍しい物ですが、偶然にもTadさんがすでに下回りも合わせてお持ちでしたので色々と伺うことができました。(同氏のブログはこちらからhttps://modeling.at.webry.info/201901/article_1.html
下回りはAHM/Model PowerのHO A-3形 0-4-0が指定されていて、これを改造するための下回りのパーツがホワイトメタルで揃っています。先に取り上げたBVMのレジンとは違い、臭いが残っている古いタイプのレジンモールドです。
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この機関車の原型はKnott’s Berry Farmで保存されている2ftゲージの機関車Old Betsyと思われますがガゼット誌の前身Fine Lines‘73 11月号に載っている図面(写真)と比較すると、サドルタンクがかなり大きいのがわかります。これは下回りに使う動力を考慮して大きくしたとも考えられます。したがって原型にこだわるより全体の印象でまとめることにしました。
動力/下回りですが、指定のものは絶版になっていて手に入りません。既に入門用のBタンク製品を何種類か持っていたのでなんとかなると思っていたのですが、見通しが甘かったようでどれも寸法的に会いません。また入門用のモデルは車輪の造形やロッド類の出来が今一つなので、かなり手を入れる必要があるのですが、説明書は指定の動力にあわせて文章で改造方法を記載してあるのでどのようにすればよいか見通しがたちません。製作はしばらくお預けと思っていたところで解決につながったのがCタンクの利用です。
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Bachmann HOの産業用0-6-0機はサドルタンクと後から発売になった下回りが同等の仕様のサイドタンクがありますが、どちらもOn30への利用に最適で、いままで自作ボディで改造に活用してきました。
さらに丸瀬布の雨宮も作る予定で予備を在庫しているのですが、このキットにもピッタリということに気づいたのは最近でした。キットにはOn30とOn3に対応したシリンダーヘッドがそれぞれ入っているのですが、このバックマンのシリンダーはそのまま使えます。また煙室を支えるサポートはそのままピッタリとはまり、ボイラー下面もダイキャストモールドがそのまま使えます。
そんなことでキットの貴重なメタルパーツであるシリンダーヘッドやボイラー下面は使うことなく部品箱送りとなってしまいました。
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Cタンクでは第3動軸が半分キャブにかかるので、キャブを指定通りの高さで取り付ける場合はキャブ側面に切り欠きが必要で、ポーター機などに実例が見られます。しかしキャブ高さを指定より数ミリかさ上げすればバックマンの土台にそのまま載ることが解ったので加工せずに進めることにしました。写真左上がバックマンのキャブ床で右上がキット付属のキャブ床ですが、加工するよりも作り直しほうが早いのでプラ板を使いました。
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レジンのキャブは歪んでいますがなんとか箱組にしました。補強のために四隅には1㎜プラ角材を接着してあります。
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キャブ屋根は中央が平らで、両脇絞り込みなのですが、付属のパーツは平らです。これを曲げろというのは無茶な話です。Tadさんからはレジンパーツの曲げ方のヒントをいただきましたが、割れてしまう心配もあるし、曲げ位置の確定も難しいので、プラ板でつくりなおすことにしました。
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屋根板はEvergreenの筋目板を使い、曲げる部分に流し込みタイプの接着剤を塗りこみ、軟化させて曲げが保持出来たらフレーム(左)に接着しました。フレームはキャブ内に入れ込むようにしてあり、キャブと接着せず、取り外しできるようにしました。
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組み上げて全体のバランスを見ます。0-4-0とは違うとはいえ、まとまりはいいようです。
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サドルタンクはキャブ前面と2本のねじで緩く固定しています。前端のボイラー・煙室は裏面からねじ止めしており、サドルタンクの前部はそれにのっかるかたちになります。
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ハンドレールと窓枠をつけました。火室/バックヘッドがついていますが、細かなディテールはなく、Grandt LineのPorter Cab Detail Kitを使うといいと説明書には書かれています。
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サドルタンク脇のランニングボードは最初から表現のつもりかヨレヨレの状態で一体モールドされており、右翼は前半分が割れていてありません。プラ板で作り直してはめることも考えましたが、朽ち果てて半分外れたランニングボードとしてそのまま活かすことにしました。
砂まき管とドーム蓋は適当にアレンジしました。タンク蓋はパーツが用意されているようなのですが、見当たらないので適当に作りました。
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バックマンの機関車のエンドビームのステップは簡単に外れるのでそのまま使いました。床が高いので本当はもう一段ないと乗り降りが大変ですが!キットにはロストワックスのカプラーポケットがついていましたが、バックマンのナックルカプラーをそのまま使うことにしたので、これも部品箱送りです。
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煙突はホワイトメタルで、2ミリのねじを立てて落とし込むようにしました。油灯はメタルパーツが入っていましたが、バックマンの亀の子ポーターの豆球付きのものが余っていましたので流用しました。米国型で是非ほしいのが、煙室扉の真ん中につく丸いナンバープレートです。パーツにはないので作りました。前面のエンドビームはレジンパーツが本来あるようなのですが、見当たりません。バックマンの下回りについているエンドビームは少し幅が足りませんが、そのまま加工なしに残すことにしました。
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工作が一通り終わったので、レジンパーツはミッチャクロンの缶スプレーを吹き、そのあとすべてにグレーサーフェイサーを吹きました。
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屋根はマホガニー、他は黒の缶スプレーを吹き、ヘッドライトの配線を済ませて、窓ガラスをつけて一応完成したところです。
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タッチアップをして、番号デカールを貼ってから艶消しスプレー、そのあと軽くウェザリングして完成です。蒸機34号機となりました。
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古典灯をつけているのでベルも欲しいところですが、センターライン上のスペースがないので諦めています。あえてつけるとしたら給水栓の上でしょうか?
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屋根ははめ込んでいるだけです。火室/バックヘッドまわりはちょっと寂しいのでディテールを加えたいところです。
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ランニングボードが半分外れた右側です。このサイズでもPorter社は0-6-0がありますが、Vulcan社は実在していないようです。
 
さて、当鉄道にはVulcanを名乗る機関車がもう1台あります
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それが写真手前の作品です。機芸出版社の“C. S. Small夕陽に映える鉄道”に写真が出ているスペインモレーダ鉱山の1917年製サドルタンクです。IHCのドックサイドを加工すればそれらしくなることを思いつき、10年ほど前に仕上げました。製作メモはこちらにあります。
 
こうして2輌がVulcanを名乗っていますが、米国Vulcan Iron Works製らしくしただけで正確なスケールモデルではありません。Vulcanといえば日本の1号機関車をつくった英国の会社が一番知られています。鍛冶の神様を意味するため鉄工所の名前としてはポピュラーで、あちこちに同名の工場があったようです。だから今も沿革が不明な某国Vulcan工場製ということにしておきましょう。 それにしてもレジンモールドの蒸機はこれで終わりにしたいです(笑)


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