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再びウェールズへ(10)ウェールズを離れて路面電車博物館へ [railway visit]

【Crich Tramway Village】
7日目はロンドンに移動するため,朝にウェールズを出発しました.この日はスケジュールがオープンだったのでTさんの提案で路面電車博物館(National Tramway Museum, Crich Tramway Village)を訪ねることになりました.クライチ(Crich)はDerbyの北にある小さな町でMachynllethからはバーミンガムを経由して220㎞,3時間ほどかかります.
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米国では路面電車博物館をよくまわりましたが.最近はちょっと関心が遠のいていて,ましてや英国型は特殊なので,まったくの予習不足で訪ねることになりました.
博物館は結構辺鄙なところにあります.Crich一帯はかつて石灰鉱山が広がっていて.鉄道の父といわれるGeorge Stephensonがあたりの鉱山の経営にも関与しています.1435㎜という妙な標準軌をつくったのは彼ですが,ここで建設された鉱山鉄道はなせか英国では珍しいメーターゲージです.建設に関わった技師がベルギー人だったからではないかということです.この鉱山鉄道が廃止された後,レールの多くを引き取ったのは復興中のタリスリン鉄道ですが,跡地利用を考えたのは路面電車の復興団体でした.1959年に残されたレールを利用して標準軌を敷設し,路面電車の動態保存が進められたようです.
そして今日では英国型を中心に50台以上の車輛が集められた屈指の動態保存博物館となっており, 20世紀前半の街並みを模したテーマパークのCrich Tramway Villageとして公開されています.現在1.4㎞ほどの路線で運行されています.日本の明治村のような印象です.
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▲終端のTown End. Chesterfieldの2階建てとベルリンの単車が待機しています.ドイツ型はめずらしいですが,2階建てのポールと大きなパンタが同居するというのも模型的で愉快です.
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▲Town Endから併用軌道の石畳の道が広がります.古い看板や建物が情景を演出しています.
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▲左側奥がTown Endです,右側に修理庫,車庫,保存館が並んでいます.
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▲修理庫は上からレストア中の車輛をみることができます.
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▲車庫の一部は開放されています. BlackpoolのToastrackです.
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▲屋内の展示博物館は路面電車の歴史が一目でわかるように馬車軌道から,英国最後の市街鉄道として1962年まで存続したグラスゴーの電車までが順に展示してあります,ちょっと余談になりますが,グラスゴー市電は1416㎜という特殊ゲージで,動態のものは標準軌に改軌されています.この2㎝狭い理由が意外でした.軌道に標準軌の貨車を通すためらしく,路面電車と比べて高めの貨車のフランジを路面レールの側溝にはめる必要があったからだそうです:
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▲台車もいくつか並べられていました.
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▲2階建てのデッキにのり,車庫方面を眺めます.
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▲陸橋をくぐる部分は2本の線路が寄せられたガントレットになっています.
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▲車庫近くから陸橋方面を眺めます.
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▲オープンデッキの2階建てはLondon市電
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▲切符切りの車掌さんが回ってきます.Village入場の際には古いコインが一枚渡されます.それを使って一日切符を手に入れるという手の込んだ演出です.
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▲路面電車はGlory Mineに向かいます.木立の隙間から鉱山設備が見えますが,稼働しているのでしょうか?
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▲終点のGlory Mineで折り返し,一駅手前のWakebridgeで降りました.
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▲線路脇に鉱山設備が並べられています.
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▲趣のある釣瓶です.
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▲小さな機関車です.
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▲あたりは自然公園として整備されています. 
 
ほかにも興味深い産業史展示や設備がたくさんありました.詳しくはこちらのサイトからどうぞ:
 
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▲このあとはバーミンガムでレンタカーを返し,列車でロンドン・ユーストン駅に着きました.
 
以上が旅の見聞録です.
英国とりわけウェールズの鉄道には今まで縁のなかった私ですが,一人旅のあと1年たたないうちに同好の友人たちと再びでかけることになるとは思ってもいませんでした.詰め込みすぎた見聞を消化するのにはまだ少し時間がかかりそうです.
おつきあい,ありがとうございました.


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