レールカー“Village Buggy”,O-9mm考 [O-9mm]
O-9mmのレールカーです.
以前にはスマトラ島にある簡易鉄道をイメージしたレールカーをO-16.5mmで製作しForest Buggyと名付けました.
今回はそのO-9mm版をつくってみました.名付けてVillage Buggy.車体の高さと幅を縮めていますが長さは前作と同じのレーザーカット車体です.
O-16.5mm Forest Buggyと試作中のO-9mm Village Buggyを並べています.
スマトラ島のモレックは600mmゲージのようですが,当初は500mm区間もあったようなので,ゲージ的には近い感じです.せっかく小径の車輪が使えるのでホイルベースも短くしたくなりますが,簡易な動力を共用することにしてKATOのチビ凸用動力ユニットを使いました.
車体構成もO-16.5mm版に準じています.
2両分,マスキングを重ねて塗装分けしました.マスキングテープをはがす前です.
プロトタイプは中央にエンジンと操縦席があるようです.その部分は省略していますが乗客をのせました.Oスケールのフィギュアは大きいものが多いですが1/50と称する建築モデル用のものがちょうどいいです.
青と緑の一台.妻板正面だけに入れてある窓ガラスですが,少しだけフラットクリアーのスプレーを被せて汚れた感じにしています.
バンパー形状の異なる赤と黄色の車体です.
2台並びました.
O-16.5mm版と並べてみました.上段がO-16.5mm のForest Buggy,下段がO-9mm のVillage Buggyです.
これらのモデルは汚したり,改造したりで楽しめそうです. O-9mm 版は頒布を予定しています.
【なぜO-9mmなのか】
最近はO-9mmを始める人が増えてきました.On18は1/48で18インチゲージを表現する表記で,鉱山で使われたゲージです.O9はOn15とも呼ばれ,1/43.5で15インチゲージを表現する表記です.こちらはロムニー鉄道などの規格になります.しかし,自由形でやっている以上,想定するゲージを厳密に考える意味はあまりなさそうです.
かつては模型を広めのゲージでつくることがよくありましたが,それはモーターの大きさによることや下回りを工作しやすくするためでした.しかし今では狭めにつくることにも利点がありそうです.なぜならNゲージやHO-9mmが多彩で安定した動力の供給源になっているからです.また,レイアウトのことを考えるとゲージが狭いほうがレイアウトは小さなスペースでつくれます.さらにNゲージの固定線路は種類が多く,どこでも買えます.こんな状況を考えるなら,Oスケールで600㎜未満のゲージを想定した作品をまとめる場合,狭めのO-9mmを採用することは理にかなっているといえそうです.
ポケットライン・ナロー(3)O-9mm内燃機関車”COMBU” [O-9mm]
小さな鉱山での利用,あるいは遊覧列車の牽引用としてスリムな機械室を持つデザインの内燃機関車をつくりました.
レーザーカットによるO-9mmの機関車第1号はバテロコでした.
前作と同様にKATOのチビ凸用動力(新旧)を加工なしではめ込む設計です.
下回りは前作のバテロコとほぼ同じですが,軸受けまわりのデザインを少し変えました.
【組立】
キャブを組んでいます.
箱型に組みあがりました.
機械室の基礎です.
側板,天板,ラジエターを取り付けていきます.ラジエターの保護柵,手すり,ドアハンドルなどはステープラー(ホッチキス)MAX No.35の針を使いました.
T字のパーツは車体に接着し,下回りを通じて動力のスロットに入れて固定します.
完成した下回りです.
排気管やライト類をつければ完成となる塗装前の状態です.
ヘッドライトレンズはアクリルシートをレーザーカットしました.
【完成】
上回りはサーフェイサーを吹いた後にガルグレー,下回りは黒の下地に赤を吹き付けました.
少しタッチアップをして完成です.
色違いの機関車です.上回りはサーフェイサーを吹いたあと,タミヤのライトグリーンを吹き付けました.
【LEDライト】
ヘッドライトは照明も可能なように貫通にしました.そこでラジエター側にLEDを入れてみました.新型の動力は旧型にように帯板が露出しておらずダイキャストブロックになっています.そこでプラスチックフレームとの隙間に0.6ミリほどの孔をつけて,抵抗を入れたLEDのリード線を差し込むようにしました.
LEDは100円ショップで売られているデコレーションライトを使いました.6~8個のチップLEDがモールドされて並列に配線されているので,切り離して使うと便利です.
【愛称COMBU】
さて機種に愛称をつけておこうと思い,“COMBU”としました.内燃機関Internal COMBUstion engineの略称になるのですが,今年5月に天寿を全うした我が家の愛犬が保護施設にいたときの名前が“コンブ”でした.その思い出の意味もあります.
【レーザーキットの頒布に関して】
この作品はレーザーキットとして2022年12月2-4日にRail Classicさんが主催した吉祥寺鉄道模型アートマルシェにて頒布しました.
なお,レーザーカットキットに関しては遠方の方から入手方法を聞かれることがありますので,この度ナローガレージさんで扱っていただくことになりました.ご関心のある方はこちらをご覧ください:
O-9mm(On18)のA2判レイアウトに山を配置 Cape Pine Mineral Springs の始まりです [O-9mm]
O-9mm(On18)の車両を走らせるためにS-9mmのために用意したA2判(420x594mm)パネルのレイアウトを利用したことを以前書きました.
もう少し変化が欲しいのですが,このパネルは収納できる運転盤のままにしておきたいところです.そこでエンドレス線路を仕切るトンネルのある山と立体的な山の背景を別々のユニットにして,組み合わせて設置するものを作ることにしました.
これがそれらの基礎を仮配置したものです.トンネルのある山は後ろ側がはみ出しており,その背面に合わせた山の背景が右側に置かれます.すべて発泡スチロールで作りますが3種類使っています.荒い白い素材を使ってストックを減らしたかったのですが,表面は弱いので密度のある青い素材と組み合わせました.トンネルの内側は適当に削って素掘りのような状態です.
3つめの発泡素材はトンネルポータルに使用したもので,厚さ5㎜の密度のあるスチレンシートです.
ポータルの表面はシャープペンシルの先で彫り込みをいれています.
ポータルも形を整えたら山と一体にします.
フォームを削って形を整えたら水にぬらしたプラスタークロス(ウッドランド製品)を適当な大きさに切りながら貼っていきます.
一通りプラスタークロスで地面の部分をカバーしました.
次はトミックスのシーナリープラスターを水で溶いたものを表面に塗っていきます.水と粉を交互に足しながら溶き具合を調整します.
かたちを整えて仮置きしてみました.
次に見えない裏側や接続面はスプレー缶で茶色やグレー系に塗装します.
地面の塗装にはいつも愛用しているウッドランドのアース・アンダーコートを使います.(KATOが扱っているので名前を変えているかもしれません)
アース・アンダーコートは染料系の塗料で,水で薄め具合を調整しながら塗布すると濃淡が表現できます.
このままでは色調が単調なので,グレー系や茶系の塗料で変化をつけます.
今回は横着してスプレー缶を使いました.
遠景のつもりなので樹木はフォリッジを這わせて表現します.スポンジを細かくした素材を使いますが,なるべく樹木用のネットに絡めたもの(ウッドランドのフォリッジ)を使うようにして立体感を出しました.フォリッジですが,色が鮮やかな彩度が高い着色はまわりとなじまないので,スプレー缶のタンを軽く吹き付けると落ち着いた感じになります.
完成した背景の山部分です.
こちらはトンネルのある山です.
山を裏側から見ます.トンネルは素掘りのような荒っぽい仕上げです.
A2パネルに配置して俯瞰しました.
フィギュアはタミヤの1/48ミリタリーキットから,いわゆるタミヤ人を中心に配しています.
ストラクチャーはレーザーカットの作品,ジャンクはレジンモールドの製品を配置しています.バテロコが平トロと人車を牽いています.
作成手順は従来通りなのですが,備忘録として少し詳しく述べてみました.
始めたばかりのO-9mmです.これから情景を展開していく予定です.
この展開に名前が欲しいので松ヶ崎鉱泉,Cape Pine Mineral Springsととりあえず名付けることにします.どこかのように廃坑のあと水資源と観光に活路を見出したいところです.
なおこの作品は2022年8月19-21日に開催された第21回国際鉄道模型コンベンションのNGJ(Narrow Gauge Junction)のブースに展示させていただきました.
ペアーハンズのO-9mm,ガスロコとバテロコ [O-9mm]
O-9mmを始めたこともあり,定番でもあるペアーハンズのキットを組んでみました.
細倉鉱山の浅野物産製のガソリン機関車とニチユ2トンバッテリー機関車です.
【細倉鉱山のガソリン機関車】
細倉鉱山の資料館に保存されている500㎜ゲージの機関車です.車体は洋白エッチングとホワイトメタルからなり,動力とフィギュアまでセットになったトータルキットです.
車体は接着剤で組めるとあったのでACCとエポキシで組みました.張り出し部分の整合に少し手間がかかりますが,フードの上面はあらかじめ曲げてあったので比較的容易に組みあがりました.ラジエター周りの細密感がいいです.
動力パーツです.パイプを使って歯車の孔を調整するようになっています.
ギアのかみ合わせが外から確認できない構造になっているのでうまくいくのかちょっと不安になります.
うっかり接着剤がギア溝に流れてしまい.ロックを起こしましたが,清掃後はスムーズに走ってくれました.
動力はこのような状態なので改軌のスペースは十分残されています.
この3点がねじ止めになります.
塗装は下地にトビカを吹いたうえに赤2号を吹きました.
付属のフィギュアに合わせて座席を作りました.
付属のフィギュアを載せて走行です,2段減速なのでかなり低速で走ります.
【ニチユ2トンバテロコ】
広く活躍した小型のバテロコです.各地で使われていたので実例も多く写真で見ることができます.真鍮エッチングが主体のキットで,動力はワールド工芸の製品が指定されています.
はんだ付けで組みました.電池箱下端の折り曲げに失敗してしまい雑な仕上がりになりました.
実物の写真をみると傷んだ上に泥にまみれてぼてぼての状態のものが多いので良しとしましょう.
指定されているのはワールド工芸の動力です,なるべく手持ち動力の改造で済まそうとしたのですが,どれも張り出しがあるので使えません.数々の同類の動力が市販されているなかでも張り出しのない独特な仕様です.ただし,ギア比は稼げていないので低速走行には適さないかもしれません.また実車よりも車輪径が小さいですが,被せてしまえば違和感はありません.
動力を支える真鍮の枠は車体に固定するようですが,車体を組み上げてから動力を入手したので位置を事前に確認することができませんでした.そこで枠ごと車体に滑りこませることにして,そのための抑えの帯を車体内側にとりつけてあります.
下地にトビカ,その上に青大将調色スプレー(アサヒペン製造,ジェイズ発売)を吹きました. 300mlのかなり大きいスプレー缶でなかなか空になりません.多少の肌荒れを許容できるものに使っています.
電池箱と車体は別々に塗装し,あとからはめ込んでいます.
ウェザリングを施して完成です.
フィギュアを載せる際には腰にやさしい座席をとりつける必要がありそうです.
鉱業用バテロコを語るには欠かせない車両ですね.
O-9mmはフリーデザイン主体で展開する予定ですが,プロトタイプものが混じることで全体のリアリティも増すのではないかと期待しています.
Gilpin Tram Small Ore CarをOn18に [O-9mm]
鉱石運搬車のキットを組みました.Grandt Lineは2ftゲージのギルピン鉄道で使われた鉱石運搬車のキットを2種類出しており,Large Ore Carについてはこちらに記載しています.
今回組み立てたSmall Ore Carは最近になって新額堂さんで見つけたもので,2セット手に入れました.San Juan Modelに型が移行してからの製品です.
構造的には大きいほうとほぼ同じです.木製のフレームが分割された形の小さな車両で,すぐに撓んで廃車になったようです.はじめから意図して手に入れたわけではないのですが,O-9mm(On18)を始めることになり,それにちょうど似合う大きさです.
台車は含まれていないので適当なものを探す必要があります.そこで利用を考えたのがMDC/Roundhouseがかつて展開していた3 in 1シリーズという古典車両の詰め合わせキットに付属していた台車パーツです.キットはいくつか種類があり,そのどれだったかは忘れましたがHOn3に改造するためのアーチバー台車が含まれていました.
台車枠は軟質プラで,ピボット軸が収まりますが,車輪は車体と同じ枝にぶらさがる成型品でとても使い物のなるとは思えず,よくぞ捨てずに残してあったものです.
これがその車輪です.フランジのバリは丁寧に落とせばいいのですが,タイヤ面が欠けているのは直しようがありません.
孔は貫通しておらず1.5ミリのドリルで抜くとちょうどうまく軸に押し込むことができ,9ミリゲージに調整しました.
完成した台車です.10.5用だと思いますが,9ミリでちょうど良い感じです.タイヤ面が欠けているにも関わらずまずまずの転がりで何とか使えそうです.
車体が組みあがりました.
塗装して台車を履かせました.付属のカプラーは下枠の下側に接着しました.
9ミリゲージでちょうど良い感じです.
Large Ore Car(背後)と並べてみました.
どちらも原型はOn2(12.7ミリゲージ)ですが,大きいほうはOn30 (16.5ミリ),小さいほうはOn18(9ミリ)で運用ということになります.台車のほうは偶然にもどちらもMDC/Roundhouse製のものを使う結果となりました.
コの字ピンでつないでなんとか半径150mmのカーブをこなしてくれますが,車輪のわずかな偏心や軽すぎる車体のままでは揺れながらの走行で不安定です.保線時のバラスト撒きに出動のヤード待機車両ということになりそうです.
ポケットライン・ナロー(2) バテロコでO-9mmはじめました [O-9mm]
ポケットライン・ナロー(1)ではHO-9mmの国籍不明な木造内燃動車について述べました.
(1)としたのは(2)を早々にアップロードする予定にしていたからです.
そのころは写真の左側にある2両の日本型単端がほぼ完成していて,それを紹介する予定でした.しかし屋根周りのタッチアップやディテールの追加が進まないまま放置状態になっています.また右側にあるポケットライン用のはめ込みフレームやキャブなどもそのままになっており,まだ完成をみていません.
そんな中, O-9mmを展開したBackwoods Miniaturesの製品や海外のO-9mmモデラーの間でポケットライン動力が重宝されていることもあり,手持ちで持て余しているポケットラインをO-9mmのスタートアップで利用してみることを思い立ちました.そこでレーザーカットで動力車両をつくることにしました.
O-9mmは小さな炭鉱や工業施設,遊覧鉄道などで使われる軌間380mm から460㎜位の鉄道をOスケールで模型化する規格です.On18(18in=457mm,1/48) とも呼ばれています.また欧州ではOn15(15in=381mm, 1/43.5)としても展開されています.Nゲージの豊富な線路を使って気軽に走らせることができるのが利点です.産業用貨車の大きさはゲージに応じて様々ですので,HOナロー用のトロッコ類をそのまま活用することができます.
これがフリーで設計したバッテリーロコです.多くのバテロコはフレームの幅いっぱいに蓄電池箱を載せたものが多いですが,車輪径が小さいので,一般的な形にはこだわらずに設計してみました.キャブ付きですが,横が解放なのでフィギュアが欲しくなります.利用できるフィギュアとのバランスを考えてキャブの高さを決めました.1ミリ厚のペーパーだけを使い,レーザーカットで作ります.
まずはフレームですが,動力にはめ込んで固定できるものにしました.動力を加工なしで使うため,軸受けの位置はかなり車輪から離れますが,実際装着して線路に置いてみると違和感はありません.最近になってチビ凸動力がコアレスモーター仕様に改善され,膨らんだ部分の造形がかわりましたのでどちらにでも使えるフレームにしました.
キャブを組んだところです.シンプルですが運転台をそれらしく作ってみました.
1ミリ厚の紙だけを使って形ができました.おおざっぱなデザインですが,蓄電池箱を支えるフレームが造形を引き締めてくれます.蓄電池箱の前面と運転座席の下部が突き出ていてカプラーを外した動力のスロットに落とし込んで固定する構造にしています.
ヘッドライトもMDF板をレーザーカットしています.
2台塗装して完成としました.
フィギュアを載せて出発です.
カプラーは欧州のHO/OO-9ミリに使われているフックカプラーに対応しています.下側のスロットの中心高さは5.5ミリです.
PECO009,ミニトレインズなどの貨車と簡単に接続できます.
Oナローですが,HOナロー用の貨車ともよくマッチします.
S-9ミリ用に製作したA2判の落とし場のあるレイアウトはストラクチャーを置き換えるだけでO-9ミリに変身します.
バテロコとレイアウトは2022年5月20~22日に開催された吉祥寺鉄道模型アートマルシェに出展しました.バテロコとストラクチャー類はキットとして頒布させていただきました.お越しいただいた方々に感謝申し上げます.
頒布作品のサイト: