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Woodland Scenicsの小さなストラクチャー [HO-9mm]

ウッドランドシーニックス(Woodland Scenics)の製品はKATOが代理店になっていて,シーナリー素材の総合ブランドといえますが,初期の頃はその名が示すように樹木の情景を演出してくれる小さなシーナリーキットメーカーの印象でした.精細な樹木キットとしてエコーモデルで扱われたのが最初の出会いで,重いメタルの幹とスポンジをまぶしたネットによるフォリッジが一緒に箱に詰め込まれたものを手にしました.その後,渋谷のLOFTが開店したとき,1フロア丸ごとホビー製品が売られており,同社のメタル製のシーナリーやストラクチャーが大量に並べられていたのを思い出します.メタル製の樹木やキットは,その後新製品の展開はないものの今でも生産されています.ストラクチャーのプラモデルは比較的大きなものが多いのですが,同社のメタル製のキットは小さなものがほとんどです.米国の製品としては意外なのですが,ヴィネット(小さなジオラマ)に利用するのにはちょうど良い大きさです.ナローゲージのレイアウトにはよくなじみ,一つ置くだけで物語のあるシーンが生まれます.その中からいくつか紹介したいと思います.
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これはKarat Creek Mining(からくり鉱業)のレイアウトの中心となるヤードの部分ですが,左手に機械工場(Tucker Brothers Machine Shop),右手奥に駅舎(Flag Depot)が見えます.
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駅舎は典型的なアメリカンスタイルで,これほど小振りのキットは他にありません.ここでは使っていませんがキットには屋根のあるプラットフォームもついています. 
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木橋上空から見た機械工場です.
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この工場は4枚の壁には洗面台や棚がモールドされていて,室内に置く工作台,炉,ボール盤,旋盤,ボンベなどがセットされています.
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これがキットの中身です.単体で手に入る工作機械のミニチュアと比べるとモールドが多少甘いですが,十分に使えるので,機械類を集めたいのなら一度に揃うお買い得なキットです.
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これはレイアウトの片隅に佇む氷貯蔵庫(Ice House)です.味わいのある小さな石造りの建物です.
 
次はモジュールの中のはめ込み用シーンとして作ったものです.
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建物の複合からなるTrackside scenesシリーズの製材所(Tie and Plank Mill)です.
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丸のこから,スチームエンジン,ベルトコンベアから処理槽まですべて揃っています.
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このほかにも組み立てたものや仕掛品がありますが,どれも小さいながら味わいのある優れたキットです.モールドには歪やずれがあるのですが,配電盤や放置されている小道具など,盛り込まれているものは相当細かいです.
ウッドランドは最近少し大きいレジンモールドの完成ストラクチャーを展開していますが,今までのメタル物も継続しているようなのでありがたいです.


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Koppel 0-4-4-0 Mallet(マレー型コッペル機) [O-16.5mm (On30, O16.5)]

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Backwoods MiniatureのKoppel 0-4-4-0 Mallet(マレー型コッペル機)が完成しました.前(2018-02-11)にも取り上げましたが,15年前(2003年夏)に組み立てを終え,JAMコンベンションで試走させています.
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これが当時の写真です. 塗装して完成のはずでしたがこの状態で止まっていました.英国製の蒸機キットはそれまでにも数台を組んでいたので,説明書通りに進めることで支障なく走行まで確認できていました.この機関車はボールジョイントによる動力伝達で前台車が首を振るので半径250㎜のカーブは問題なく走行します.ただし,煙室下のブラストパイプが台枠をはさんでスライドする部分の動きが多少渋いので調整する必要がありました.またカーブでは時折本体とテンダーが接触しショートするので,絶縁対策が必要です.他にも,砂まき管がカーブで外れる対策をどうするか;外せる必要があるキャブの屋根をどのように固定するか,こんなことを考えているうちにそのまま放置していました.
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そしてこれが先日の姿です.15年間,この状態で時々走らせていましたが,いよいよ仕上げにとりかかることにしました. 
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久しぶりに触ってみてやっと構造をおもいだすことができました.動輪は裏蓋方式,テンダーを絶縁して片側だけ集電する方式です.その動輪の絶縁側ですが,軸のところで絶縁されているため,クランクピンを固定する部品がスポーク部分と通電しないようにエポキシ接着剤の層で浮かせるという荒業が必要です.
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分解した状態です.分解の手順が複雑で,台車内のウォーム軸は外せません.ねじ類は独自なBA規格で,なくすと予備がないので作業は慎重に行いました.モーターはコアレスで低速で安定して走ります.
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課題だった屋根の固定は真鍮線をはんだ付けして滑り込ませることにしました.
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黒の塗装には手軽なトビカを使用し,煙室の部分はグレーにしました.
塗装が終わり再組立てして,走行させてみると調子がすっかり悪くなっていました.よく調べてみると,バルブギアーを固定する支柱やスライドバーが洗浄時にぐらぐらになったようです.支柱の固定はフレームに挟まれた部分にあり,はんだ付けの補修がままならず,何回もやり直ししてようやく走行できるようになりました.モーターの取り外しが簡単ではないので後部台車の回転を手回しで確認することが難しく,調整に手間取りました.そして最悪なことに前部台車のプラギアが割れたようで一回転ごとにカタンと音がします.満足できる走行には遠いのですが,低速で走るのでこれ以上の調整はあきらめました.
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塗装後の下回りです. テンダーのドローバーはプラ片に変えましたが,給電用線材をテンダー側のねじに接触させています.
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放置してあった間,まだ取り付けていなかったヘッドライトとキャブ屋根のハッチがどっかにいってしまいました.ハッチはプラ片で,ヘッドライトはグラントラインのポーター用を使いました.砂まき管はちょっと細すぎるし,首を振るときに前台車の取り付け口からはずれることがあるのですが,そのままになっています.
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煙室下のブラストパイプは台枠にスライドするスリットがあり下からワッシャではさむような構造になっているのですが,カーブ走行に支障があるので,下側は支えないことにしました.そのため,本体を持ち上げると前台車が垂れさがってボールジョイントが外れることがあるので,必ず前台車を支えながら持ち上げることにしています.
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コッペルとはいえ,すっかりイメージを変えた中米仕様です.テンダー側の本機エンドビームはプラ帯で絶縁してカーブでのショートを防いています.
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機関庫が短すぎて収まりませんが,レイアウトにはちょうど良い大きさです.
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半径25㎝のカーブでの走行や姿に無理はありません.
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テンダー下部にはスピーカー用の孔があいておりデコーダーが入りそうです.ヘッドライト点灯にするなど,さらに手を加える余地が残っていますが,これで一応完成ということにします.


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HOスケールの1961年型Chrysler車キット [car model]

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HOスケールの1961年型クライスラー車7点が入ったキットです.Imperial, Chrysler Convertible, Dodge Polara, Dodge Dart, Dodge Valiant, 同Wagon,Plymouth Savoy Wagonの7種です.似たような車が多いですがボディー内の刻印で識別できます.デンマークのHeljan製ですが,元々はRevellの製品です.調べてみるとRevellがクライスラー社とタイアップして製作した販促モデル(Promo)だったということです.
ということでキットとしては1960年につくられたことになります.
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▲Heljanの外箱は”7 Different Cars”とそっけないのですが説明書はConverta-car kitとあります.つまり組み合わせが楽しめるカスタマイジングキット仕立てというわけです.Revellは当時HOスケールの鉄道模型を展開していたので,1/25のAMTにHOスケールで対抗するつもりだったのでしょうか?
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▲これが7台のボディーでシャーシーをはめたまま未完です.今日のHOサイズミニカーと比べると見劣りしますが,キットというのは今日でも珍しいと思います.
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▲デカールやオプションパーツにはスノーボードやゴルフバッグも入っています.
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▲説明書に記載されたオプションパーツの使用例で,花屋さん,パトカー,電話会社,スキーマニアなど,やたら細かいです.
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▲ダッジのフルサイズPolara(これだけ塗装しました)とコンパクトカーValiantのワゴンです.
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▲左がPolara,右はほとんど区別がつかないDodge Dartです.
60年代に入りアメ車は低く,大きい箱型になり,61年型ではGMやフォードが直線的なデザインになっていたのに対し,クライスラー車は50年代の複雑な曲線を描いたデザインを引きずっている印象を受けます.
 
Revellのカープラモデルは試行錯誤していたころで,このHOサイズはこの年限りとなり,翌年もクライスラー社とタイアップしますがカープラモデルの主戦場1/25のシリーズを展開します.
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▲これは1962年型Dodge DartとPlymouth Furyのキットの組みたて説明書(説明書だけが残っています)です.この2台は車台が共通で,前年はフルサイズでしたが,この年はかなりダウンサイズしています.
 
62年型クライスラー車は相変わらず側面にフィンが突き出たような個性的なデザインで,すっきりとした箱型のGMやフォードと比較し人気がなく売れ行きが落ち込んだ年だと言われています.
 
Revellの1/25キットはAMTのカスタマイジングキットの人気を受けてオプションパーツが盛り込まれましたが,せいぜいライトやトリムなどのしょぼい内容でした.結局Revellのアニュアルキットはこの年だけで終わりました.わたしがこのキットを入手したのもセールだったからです.本国で$1.50のキットは900円でしたが,Revellだけは代理店の関係で720円,それが400円で売られていました.
 
ちなみにDodge Dartはその後ダッジブランドのコンパクトカーとして1976年まで継続され,2012年にはアルファロメオ・ジュリエッタと共通車台で再登場しますが,現在は生産が打ち切られています.


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黎明期のカープラモデル 1/32ジャガーXK120 [car model]

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かなり前になりますが,模型店で地味な茶系単色の箱に入ったジャガーXK120のキットを見つけて購入しました.このキットには見覚えがあったからです.弟が持っていたRevellのキットです. SUNNYというブランドで1950年代アメリカ製プラスチックモデルと書かれていますが,脇にはMade in Japanと記載されています. 
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脇にはフェラーリやMG-TDのキットの広告があります.これも他のRevellのキットの箱の側面に書かれていたのを見た覚えがありますのでRevellに間違いありません.
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中身はこのようなシンプルなものでメッキやクリアパーツはありません.シャーシの彫刻もなく,車軸は床板にモールドされていて直接タイヤをはめる構造です.
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そして床板には刻印があります.弟が持っていたので記憶していました.それはGowland & Gowland Copyright 1954の陽刻です.1954年といえばまだ実物のXK120が生産されていた時期です. Gowland & Gowlandの刻印は他のRevell のキットでも見たことがあり,長らく不思議に思っていたのですが,WIKIで謎が解けました.
これらの模型の原型はイギリスのGowland兄弟によるものでRevellが1/32のHighway Pioneersシリーズとして売り出したところ成功し,プラモメーカーしての基礎を築いたということです.またこれらの型は他のメーカーによっても修正されて発売されたようですが,原型は英国のDapolに移ったとのことで検索してみるとこちらにブランドの推移が表になっていました.
DapolはAirfixやKitmasterを含め,英国の古いキットの型を集めている様子ですね.
生粋のアメリカンプラモデルではなく原点は英国製品だったわけですが,カープラモデルの原点をみることができる貴重なキットです.
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SUNNYというモデルブランドは現在ありません.モールドされたものを仕入れて梱包したようですが,それにしてもこのような地味ながら歴史的なキットをよくぞ扱ってくれたものです.


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Polaの鉱山用ストラクチャーキット [HO-9mm]

【Karat Creek Mining Co.のプラストラクチャー】
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屋根裏の収納スペースを整理していて,奥にしまわれていたレイアウトを引っ張り出してみました.鉄道模型趣味誌1995年12月号(TMS 606)に掲載されたHO-9㎜のレイアウトKarat Creek Mining Co.(からくり鉱業)です.レイアウトとしては初めての投稿作品で,他にはふたつHO-9㎜のレイアウトを残しています.
サイズは465x846㎜でシノハラの組線路を主に使った待避線と側線がある構成です.曲線半径は150㎜,ポイントの分岐半径は200㎜.パネルは厚さ15㎜の合板で,全体を脚で浮かせて谷をティンバートレッスルで渡る構成になっています.
このレイアウトではPolaの鉱山ストラクチャーキットを多数利用しており,今でも手に入る定番のものばかりです.そこで今回はこれらのストラクチャーキットのことをまとめてみました. 
 
【Polaの鉱山ストラクチャー】
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▲レイアウトの鉱山の部分でPOLAのNスケールのストラクチャーを3点使っています.右側は二つのキット,Old Gravel PlantとOld Quarryを組み合わせたものでシュートは実際に動作します.山を隔てて.Old Coal Mineがあります.
 
これらのキットは特に好きなので未組立のものを確保しています.POLAは現在Fallerに組み込まれて入手できますが,Model Powerブランドで米国で販売されているものも入手しやすいです.
 
【N Old Gravel Plant】
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▲NスケールのOld Gravel Plantです.POLAはFallerに吸収されたのでこれは現在のパッケージです.
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▲レイアウトでは加工してホッパーを可動にしていますが,本来は3連のダミーです. 
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▲POLA,FallerそしてModel Powerの組み立て説明書です.
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▲この木造ホッパーの形は特に好きでOスケールの自作でも形の参考にしています.右はプラ板製の可動ホッパーでなべトロの積み下ろしに利用しているもの,左側はバルサ製でレイアウトに組み込まれたものです.
 
【N Old Quarry and Ballast Works / Coal Depot】
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▲小屋上からシュートする建物です,手持ちの未組立はModel Powerブランドで,こちらではBlue Coal Depotとなっています.
 
次に述べるようにHOスケールのもありますが,Nスケールがナローゲージによく合います.しかしこれは私のアイデアではありません.TMSに掲載された中尾豊氏のレイアウトプランにそれらしいイラストがあるのです(ナローゲージモデリングp141,機芸出版社).
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▲POLA(左)とModel Power(右)の説明書を並べてみました.
 
【HO Old Quarry and Ballast Works / Coal Depot】
このキットはHO版があり,こちらのほうが原型だと思います.
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▲左側はQuick,右はModel Powerの説明書です.
 
Quickは後にPOLAに引き継がれました.最初に手にしたのはQuickのキットでしたが,これには電磁石がついており,実際にバラストを落とせるようになっています.後のPOLAでも電磁石が別売りされていた時期があります.さて,Quickのキットのディテールはお粗末なものでした,木目の筋は浮き上がっていて,屋根も雑なつくりで見劣りしたので廃棄してしまいました.POLAになって現在のディテールになりました.
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▲このHOキットはサンセットマウンテン鉄道(鉄道模型趣味2006年4月号,TMS751)に配置しています.
 
【HO Old Coal Mine】
線路をまたぐ炭鉱設備のキットですがHOの方から紹介します.
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▲Model Powerのパッケージです.
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▲最近Fallerのパッケージが登場しました.
 
手元にはFallerとModel Powerのものがありますが,もちろん中身は同じです.このキットですが,Jack Work氏がModel Railroader誌1959年10月号から連載した自作記事がプロトタイプということです.ですからドイツ製とはいえ,もともと輸出向けだったのでしょうか?そういえばPOLAの古いカタログには載っていません.日本型のHOレイアウトでも雑誌等で活用されている様子をよく見てきました.下部は本線とし,上の建物の中になべトロの編成を通すのに向いたサイズです.まだ組み立てたことはありません.
 
【N Old Coal Mine】
これもNスケール版があるので,からくり鉱業で使ったのはこのサイズです.
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▲Model Powerのパッケージです.
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▲Old Coal Mineのキットは短縮して使いました.ただし,HOスケールとしては少し屋根が低いように思えたので,かさ上げして利用しました.
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▲3つのキットを組み合わせて,このシーンができました.
 
【機関庫】
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▲鉱山用に限定したものではありませんが,レイアウトにはナローのクリッター用に広く利用されている機関庫を設置しました.前述の中尾氏のプランにもそれらしいものが描かれています.
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▲キットは機関庫というより,このようなHOのハンドカーと周辺設備からなる構成Trackside Maintenanceで出回っていることが多いです.
 
ストラクチャーキットには様々な使い方や配置を考える楽しみがあります.今回紹介したキットはときどきレイアウトで見かけることがあり,使い方や配置の個性ににんまりとしてしまいます.

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