コッペル4トンBタンク(Koppel 10HP 0-4-0) [O-16.5mm (On30, O16.5)]
手持ちのコッペルキットについては2018-02-11で書きましたが,今回4トンBタンク(オープンキャブ仕様)が完成しました.
端正なスタイルの蒸機です.
昨年は中米のコッペルマレー(2018-11-23)が完成しましたが,こちらはコッペルのイメージを凝縮したようなオリジナルモデルで,トーマモデルワークスのキットです.コッペルの中でも最小クラスのこのオープンキャブモデルは復刻カタログで同類のものを見ていて是非作ってみたいモデルでした.
キットは通常のキャブ仕様ですが,オプションとしてオープンキャブセットがあります.オープンにすると中が見えるのでバックヘッドまわりのオプションパーツセットも合わせて購入しました.
下回りとボディの主要部分を組みあげた状態です.キットの設計がいいのでとりたてて組立で苦労するところはありません.ただ組立の順番は考慮する必要があります.
下回りはフレームを赤に塗装し,走行チェックしました.走りを確認してディテールアップに入るまで少し時間が空きました.
バルブや配管はなるべく真鍮色を残したいので,バックヘッドまわりはラフな黒の筆塗とウェザリングで仕上げました.
真鍮の黒の塗装は下地処理を兼ねているトビカだけで済ますことが多かったのですが,今回はミッチャクロンを吹いた後にトビカを吹いてみました.ちょっと条件が悪かったのか粗い塗面になりました.キャブは明灰緑色の筆塗ですが,はみ出たところは黒のガンダムマーカーを縁に充てて処理したのでその部分は艶が出ます.そこで全体に軽く艶消しスプレーを吹いた上に黒のウェザリングパウダーを擦りつけていくと定着がよく,均一な感じになりました.あちこちタッチアップしたので,すっきりとした仕上がりではないですが何とか見られる姿になりました.
圧力計やバルブ類が見えるのがたのしいです.
そのまま組んでいますが,逆止弁につながるパイプは付属のエッチング板ではなく,真鍮線に替えています.汽笛のはんだ付けは結構手こずりました.
オープンキャブなので運転士を用意する必要がありそうです.
右は7トン30HP機(トーマモデルワークス)です.トーマさんのキットはまだ2種残っているので,引き続き組み立てる予定です.
入門用2軸蒸機図鑑 [O-16.5mm (On30, O16.5)]
手持ちのHO入門用2軸蒸機を取り出してみました.Oナローの下回りとして利用するために集めたのですが,そのままにしておきたいものもあります.下回りの写真と動輪の直径と軸距を列記しましたので,流用される場合の参考にしていただければと思います。(寸法は定規をあてた実測値ですので,多少の誤差を含みます)
【IHC Dockside】動輪径15㎜ 軸距25㎜
ドックサイドはいくつかのメーカーからでていますが,これは旧ユーゴスラビアのMehanoの製品です.
バルブギアまわりが太めですが,タイヤのリムが薄く,なかなかよくできた製品です.
これを利用してVulcan風のOナロー機に改造したものです.モーターを換装,キャブを新造,サドルタンクに手を加えて煙室を前に延長しました.
【Mantua Goat 0-4-0】動輪径15㎜ 軸距25㎜
1988年にボストンで購入したキット版です.テンダーと集電極性をわけていますので,タンク機にする場合は加工が必要です.動輪3軸のものもあり,そちらはOナロー機に改装していますが,こちらはそのままになっています.
モーターは古いオープンフレームです.力が弱いので換装したいところですが,固定方法を考えなければなりません.非集電側の車輪の一つはゴム輪がはまっています.
【Life Like Tea Kettle】動輪径15㎜ 軸距30㎜
これは仙台のKさんからいただいたものです. ほど良いおもちゃ感があるのでそのままにしています.
ピストンロッドはちゃんとしていますが,タイヤリムが厚めです.
【Model Power Old Time 0-4-0】動輪径12.5㎜ 軸距23.7㎜
1989年にボストンのおもちゃ屋で買ったもので,製造は旧ユーゴスラビアのMehano.ピストンはロッド一体の簡易型です.動輪径が小さいのが特徴.シリンダーをふさぐようにステップがあり,全体のバランスも今一つです.
ロッド式内燃機としても使えそうです.
【Model Power Deluxe 0-4-0】動輪径15㎜ 軸距28㎜
レビューしたばかり(2018-12-15)ですが,現在も新製品が手に入る数少ないモデルです.
ウェイトが一体になっているところが構造としては残念です.
【Hornby Pug】動輪径12.2㎜ 軸距23㎜
英国の入門ロコで,DapolからHornbyに移籍しました.最近Hornbyからはディテールが向上したモデルが出てきましたので,これは廃版かもしれません.
下まわりはシンプルですが,ブレーキシューがモールドされたしっかりとした出来です.分解に意外とてこずります.またシリンダーのカバーを外すとピストンロッドはありません.
これを利用したプラ板製のOナロー機です.クロスヘッドはアルモデルのものを使っています.
英国のボディーキットでもよく利用されます.これはホワイトメタルの塊のようなWrightlinesのBagnall.クロスヘッドもメタルです.
【Bachmann Percy】動輪径15㎜ 軸距30㎜
トーマスシリーズの一台です.目玉が動きます.一度分解すると戻すのが大変なので分解したままの写真です.
モーターは真ん中に立っています.目玉を動かす機構を活かしたいと考えてしまいます.
【Fleischmann Anna】動輪径14㎜ 軸距30㎜
フライシュマンの定番ロコで,さすが安定した走りです.いまは製造されていないようで残念です.
がっちりとダイキャストブロックで組まれているので,下回りを利用するとしたらこのまま使うことになるでしょう.
アメリカ型の動輪径は15㎜が多いのですが,タイヤリムの厚さによって大きさの印象が随分違うことがわかりました.またTaddieさんのブログでとりあげられたようにModel Powerからは別な仕様の入門機があったようです.
最近は細密化,プロトタイプ指向が進み,ここで紹介したような入門用ロコは少なくなりました.手軽に改造して楽しめるので是非製品化を続けてほしいところです.
(2018年の大晦日に書きました.今年一年お付き合いいただきありがとうございました.来年もよろしくお願いいたします.)
Model Powerの0-4-0蒸機:サウンド付き無線運転機能 [O-16.5mm (On30, O16.5)]
少し前になりますが,新額堂さんで入手した1908 Vulcan 12tonのOナローレジンキットです.このキットはTadさんが随分前に取り寄せられているようで,そちらの様子を伺って進めようかともおもっていましたが,下回りがないことには組立のイメージがわきません.5ページにわたる説明書も手書きの図が少しあるだけの文章主体の内容です.下回りはAHM or Model Power HO A-3 0-4-0を利用することとあります.
すでにこちらの製品を持っていましたがどうも違うようです.これは旧ユーゴスラビアMehanoの製品です.検索してみると過去には様々な形態のものがあってどれなのか特定できません.現在も手に入るものを調べてみると今もModel Powerの入門用と思しきBタンクが売られています.さっそく取り寄せることにしました.
値段は通常仕様の場合$20で送料の方が上回ります.そこでDCC仕様のものと合わせて取り寄せました.
上のDC仕様が$20,下のDCCサウンド付きが$60です.DCCサウンド付きにはRadio Control対応とDCCとは別項目で表示してあります.
あけてみるとどちらも外観と本体分解図は同じで,Deluxe 0-4-0という安易な製品名です(笑)
DCC仕様の方にはリモコンがついています.とりあえずDCCの準備をしていないのでDCに載せてみますがそのままでは動きません.まずリモコンに付属の電池をいれ,線路に十分な電圧をかけるとペアリングのようなことが行われ,リモコン操作でコントロールできるようになりました.方向変換,速度変更,停止,ライト,ブラスト音,ホイッスル,ベル音が操作できます.音質は今一つでキンキンしています.
あけてみると一枚の基板が詰め込まれていてスピーカーは裸のままキャブの天井にくっついていました.
このコントロール方式はMRC Loco Genieと呼ばれるものです.製品サイトはこちらにあります.https://www.modelrectifier.com/locogenie-s/125.htm
付属のコントローラは簡易版で,制御機能を変更したい場合は別の機器が必要なようです.
Model Power はパワーパックをだしているMRCのブランドになったのでこのようなことに力をいれているのでしょう.DCCがなくても無線で個体別制御ができるとうたいながらDCCにも対応した一体型基板というところがミソです.機能は限定的なので満足できなければDCCに移行しなさいという橋渡しの役割なのでしょうか? DCCの説明書も梱包されていてサウンドも充実しているようなので試す予定ですが,この実装のままではよい音は期待できません.安普請の機関車にあえて機能を押し込んでいるところがご愛敬です.
さて,最初の話題に戻りますが,このモデルもVulcanの指定下回りとは違ったようです.改造を加えて利用するが思案中です.
Koppel 0-4-4-0 Mallet(マレー型コッペル機) [O-16.5mm (On30, O16.5)]
Backwoods MiniatureのKoppel 0-4-4-0 Mallet(マレー型コッペル機)が完成しました.前(2018-02-11)にも取り上げましたが,15年前(2003年夏)に組み立てを終え,JAMコンベンションで試走させています.
これが当時の写真です. 塗装して完成のはずでしたがこの状態で止まっていました.英国製の蒸機キットはそれまでにも数台を組んでいたので,説明書通りに進めることで支障なく走行まで確認できていました.この機関車はボールジョイントによる動力伝達で前台車が首を振るので半径250㎜のカーブは問題なく走行します.ただし,煙室下のブラストパイプが台枠をはさんでスライドする部分の動きが多少渋いので調整する必要がありました.またカーブでは時折本体とテンダーが接触しショートするので,絶縁対策が必要です.他にも,砂まき管がカーブで外れる対策をどうするか;外せる必要があるキャブの屋根をどのように固定するか,こんなことを考えているうちにそのまま放置していました.
そしてこれが先日の姿です.15年間,この状態で時々走らせていましたが,いよいよ仕上げにとりかかることにしました.
久しぶりに触ってみてやっと構造をおもいだすことができました.動輪は裏蓋方式,テンダーを絶縁して片側だけ集電する方式です.その動輪の絶縁側ですが,軸のところで絶縁されているため,クランクピンを固定する部品がスポーク部分と通電しないようにエポキシ接着剤の層で浮かせるという荒業が必要です.
分解した状態です.分解の手順が複雑で,台車内のウォーム軸は外せません.ねじ類は独自なBA規格で,なくすと予備がないので作業は慎重に行いました.モーターはコアレスで低速で安定して走ります.
課題だった屋根の固定は真鍮線をはんだ付けして滑り込ませることにしました.
黒の塗装には手軽なトビカを使用し,煙室の部分はグレーにしました.
塗装が終わり再組立てして,走行させてみると調子がすっかり悪くなっていました.よく調べてみると,バルブギアーを固定する支柱やスライドバーが洗浄時にぐらぐらになったようです.支柱の固定はフレームに挟まれた部分にあり,はんだ付けの補修がままならず,何回もやり直ししてようやく走行できるようになりました.モーターの取り外しが簡単ではないので後部台車の回転を手回しで確認することが難しく,調整に手間取りました.そして最悪なことに前部台車のプラギアが割れたようで一回転ごとにカタンと音がします.満足できる走行には遠いのですが,低速で走るのでこれ以上の調整はあきらめました.
塗装後の下回りです. テンダーのドローバーはプラ片に変えましたが,給電用線材をテンダー側のねじに接触させています.
放置してあった間,まだ取り付けていなかったヘッドライトとキャブ屋根のハッチがどっかにいってしまいました.ハッチはプラ片で,ヘッドライトはグラントラインのポーター用を使いました.砂まき管はちょっと細すぎるし,首を振るときに前台車の取り付け口からはずれることがあるのですが,そのままになっています.
煙室下のブラストパイプは台枠にスライドするスリットがあり下からワッシャではさむような構造になっているのですが,カーブ走行に支障があるので,下側は支えないことにしました.そのため,本体を持ち上げると前台車が垂れさがってボールジョイントが外れることがあるので,必ず前台車を支えながら持ち上げることにしています.
コッペルとはいえ,すっかりイメージを変えた中米仕様です.テンダー側の本機エンドビームはプラ帯で絶縁してカーブでのショートを防いています.
機関庫が短すぎて収まりませんが,レイアウトにはちょうど良い大きさです.
半径25㎝のカーブでの走行や姿に無理はありません.
テンダー下部にはスピーカー用の孔があいておりデコーダーが入りそうです.ヘッドライト点灯にするなど,さらに手を加える余地が残っていますが,これで一応完成ということにします.
ペアーハンズの縦釜 ”Coffee Pot” ほか [O-16.5mm (On30, O16.5)]
ペアーハンズの小型縦型ボイラーロコ”Coffee Pot”を組み立てました.
DeWintonの縦釜がプロトタイプなのでWrightlinesのモデル(奥)と比べてみました,
Wrightlinesのモデルは1/43.5ですから縮尺による大きさの違いでしょうが,思いだしたのはBrecon Mountain Railwayに保存してあった2台の縦釜(2017-11-18)です.DeWintonのものと並べて展示されていた一台は小振りでワンオフの手作り機でした.これにならって特にプロトタイプにこだわらずに改造しようかとも考えましたが,結局特徴的な端梁下部の排障器を省略しただけでそのまま組むことになりました.
ホワイトメタルとエッチング板が複雑に組み合わさっているので,順番を考えながらはんだ付けと接着剤を使い分ける必要があります.
動力はパワートラックにロッドを取り付けたものです.ボイラーは中央に載るのですが,不安定なので線を埋めてフレームに固定しました.同様にパワートラックを使うWrightlinesキットはボイラーが中空なので内側からパワートラックをねじ止めすることができるのですが,こちらはそれができません.
パワートラックは両面テープで固定するよう書かれていますが外れやすいので,プラ板を接着してフレームに裏からねじ止めするようにしました(グレーの部分).裏側に使うウェイトやディテールもキットには用意されていますが,ねじ止め位置の関係もあって,これらは省略しました.
上回りはキットのとおり組み立てました.
シリンダーロッドは途中で切れているので機能的には不十分なディテールですが,味わいのある縦釜ができました.
今年(2018)の軽便鉄道模型祭のクリッターズクラブのペアハン祭りに向けて仕上げた動力車のことを3回にわけて記載しました.ほかにも動力車のキットをストックしているのですが,祭りには間に合いません.ペアーハンズのキットはほかに貨車を組みました.
こちらは森林鉄道用の小型有蓋車です.洋白エッチング板が使われています.ドアはスライドできるようにしました.台車はキット付属のものとは別にトロッコベースキットを使用しました.
手前にあるのが小型有蓋車に付属していた台車,奥の1台はトロッコベースキットを使った車輛です.
動力車を含め,悩ましいのがカプラーです.連結運転を手軽に楽しむためにケーディーの5番カプラーを基準に中心がHOと同じく10㎜の高さになるようになるべくしています.場合によってはピン・リンク式に付け替える方式です.しかし紹介してきたペアーハンズの車輛は高さが多様なままなので,ありあわせのカプラーを取り付けており,連結できる車輛は限定されます.
手を振る機関車Bump Around ペアハン+ホットウィール [O-16.5mm (On30, O16.5)]
おじさんが走行中手を振ってくれる機関車です.
ペアーハンズの“小型ガソリン機関車,夏スタイル”というキットです.BachmannのDavenport DLをさらに短くしたずんぐりスタイルの機関車キットが出ていますが,それをオープン仕様にした変種というわけです.キットの魅力は運転手の人形がセットに含まれていて手を振らせるようになっていることです.
前述の岩手富士のモーターカー同様,動力はGandy Dancerです.以前にレバーの動きを使って煙突の先を上下させるスピーダーを2台つくったことがあります.このキットはレバーを使って運転手の右腕が動くようにしているところが特色です.また片方のレバーもアイデア次第で使えるというわけで機械室のカバーを揺らすようなことが出来るようになっています.しかし付属のラジエターは大きいし,モーター部分をエンジンとみなすにしても真ん中に寄りすぎていて一工夫必要です.
そこで活用を思いついたのがホットウィールのBump Aroundというモデルです.前(2017-12-10)に紹介しましたが,天井集電でぶつかり合って走行する遊園地の乗り物です.このボンネットは是非内燃機に流用したいと考えていましたが,小径車輪に広い土台を備えたこの機関車ならうまくまとまりそうです.
5ミリかさ上げするとちょうど収まりました.
プラ板を内張し,その上にもう一枚重ねて整形しました.ヘッドライトはドリルでえぐってみました.
動力の周囲はテープを貼って絶縁していますが,車体からはずれないようにするために左下側(白い部分)に押さえのプラ片をねじ止めしています.カプラーは少し大き目の009用をつけました.
運転手の右腕はレバーにはんだ付けした0.4ミリ線で支えられているので上下します.
反対側のレバーにも線をつけてボンネットごと上下する仕掛けを試みました.しかしダイキャストが重くてレバーの動きが抑えられてしまい手の振りにも影響するので諦めました.
Bump Aroundのボンネット部分からはエンジン音も高らかに走り回る姿が想像できますが,本来は遊園地の電動遊具ですから,ここにエンジンは入っていないのですよね(笑).
ペアーハンズのキット組立 軽量機関車と巡察車 [O-16.5mm (On30, O16.5)]
毎年秋に開催される軽便鉄道模型祭にはクリッターズクラブのブースに作品を出させてもらっています.
今年2018年は「ペアハン祭!」と題してペアーハンズ(Pair Hands)さんの作品を集めるということです.
NやHOナローのものも少しありますが,持っているのはほとんどがO-16.5㎜のキットです.これを機会に途中で放置してあったものを組みあげてみました.これが完成している作品のすべてです.
これらのうち,ここに並ぶ4輌の動力車と貨車がこの機会に組み上げたものです.順次取り上げていきたいと思います.
【軽量機関車55号 Simple XS】
シンプレックスの雰囲気を楽しむ機関車ということになっていますが,座席が横置きの軽量オープン機という以外には共通点はありません.枠にはKATOの陽刻があり,ジャンクを寄せ集めて現場でまとめたという雰囲気です.そこでsをつけてエキストラスモール(XS)のSimple XSと名付けてみました.
ホワイトメタルのパーツから成るキットで動力は天賞堂パワートラックWB24.5を使います.レバー類は別売りのセットになっていましたが,それも合わせて使いました.
瞬間接着剤で組める簡単なキットです.派手にパーツに色を変えて組み上げたので,はめ込み式玩具のような様相になりました.センターの赤いタンクを載せた黄色いトランスミッションの部分はパワートラックに直接接着する構造です.
パワートラックは両面テープで固定するように書かれていますが,端面側に発泡スチロール片を入れて固定してみました.
ブレーキハンドルの支柱を立てるスペースがぎりぎりで,運転席が手狭ですが何とか運転してもらえそうです.
【岩手富士巡察車56号:Iwate Fuji Inspection Car powered by Gandy Dancer】
森林鉄道で活躍した巡察用の岩手富士T62JHモーターカーです.
動力にこのBachmannのGandy Dancerを使っているのが良いアイデアです.ただし1軸駆動で走行性能は今一つです.また,間をプラで絶縁した極性分割の構造なので,真鍮のフレームにはめるためにはセロテープで周囲を絶縁する必要があります.
動力を中心に収めたオープン仕立で座席もついています.側板と屋根は接着して側面の下回りをフレームにねじ止めする構造のようですが,ホワイトメタルの屋根を真鍮の側板にどのように接着したらよいのか悩むところです.そこで適当なドアをプラ板でつくり,密閉型にして側面を囲み,ドア部分の上部で屋根をねじ止めする方法にしました.
ヘッドライトは少し大き目のアルモデルのパーツを使いました.セロテープで周囲を絶縁したGandy Dancerの動力は押し込んだだけの固定になっています.
Gandy Dancerのレバーの動きを活かした作品は次に紹介します.
PlaPowerを使った2輌の内燃機 [O-16.5mm (On30, O16.5)]
▲5年以上ほったらかしにしていた自作の動力,プラパワー(2018-08-07)を使ったフリーランスの内燃機が2輌完成しました.せっかくの自作動力なので,車体もパーツを使わないで自作にこだわってみました.
【2種類の下回り】
動力は軸距20㎜と24.5㎜がそれぞれ2台つくってありますので,下回りをまとめて製作することにしました.フリーランスで上回りをいくつかデザインしているので,どれにでも使える下回りとしました.
▲4台分の主要なパーツをプラ素材で切りそろえました.
▲軸距20㎜の方はコイルばね懸架のもので,ホイットコムやミルウォーキーの機関車に見られるタイプです.コイルは単芯の被覆線を巻いたもの,軸箱はねじの頭です.
▲軸距24.5㎜の方は板バネ懸架にしました.これは後述するように端部以外は随分前につくった図面に基づいています.
▲自作動力が放置されていた原因のひとつ,それは取り付けをどうするか迷ったままだったからです.結局プラ棒でフレームを重ね上げし,張り出した板で止める方式にしました.
▲下地塗装を終えて4台分の下回りがそろいました.カプラーの部分はバッファーとなる張り出しをつけているので,カプラーをとめるねじ孔は床板の端ぎりぎりのところにあけています.
【黄色の機関車】
▲軸距20㎜,コイルバネの機関車の図面です.後部開放の形にしてみました.
▲0.3㎜の車体表面にリベットを打ち,切込みをいれているところです.
▲仮組した状態です.機械室のせり出しは5㎜の四角と三角の角材を貼り合わせたものを土台にしました.このあと前妻面にLEDを仕込みます.
▲LEDは直接モーター側からつきだした保護ダイオードの線と接触するようにしています.
▲ガルグレーで下地塗装を終えたところ.運転台の部分はかなり適当なアレンジです.計器盤らしき部分は直接室内につけてあります.
▲塗装はカラースプレーで手軽に済ますことが多いのですが,今回はガイアカラーをエアブラシしました.
▲窓をいれて完成しました.いまのところラジエータを少し汚していますが,他はほとんどそのままです.車籍管理の都合で71号となりました.
▲ウェイトは機械室に少しいれましたが,メタル製の機関士をいれてもう少し重さを稼ぐ予定です.
【青い機関車】
もう一つの軸距24.5㎜の方ですが,以前につくった機関車の図面でつくることにしました.
▲同様の工法で車体を組み立てた状態です.
▲上下濃淡の青で塗装しました.車籍番号は70です.
▲この車両の形ですが,わたしにとってOナローの記念すべき雑誌デビュー作なのです.
▲それはGazette May/June 1997に掲載されました.手前の濁河軌道1号機が記事にした作品で軸距は26㎜でパワートラックを動力にしています.
▲新旧2作を並べてところ,細かな点を除いて基本はほとんど同じです.20年以上たちましたが,設計も技法もほとんど進歩していません!
▲下回りだけがまだ2台分あり,動力も組み立て済のものがあるので,まだまだつくっていくつもりです.
プラバンで作る動力“PlaPower(プラパワー)" [O-16.5mm (On30, O16.5)]
【2段減速の動力】
Oナローの動力には天賞堂のパワートラックなどのモーターを軸間に置いた動力ユニットが広く使われています。これほどロングランな製品もないのではないかと思います。しかし、モーター上載せでいいから、もう少し減速比がとれる2段減速のものが欲しくなります。これには定番と言われる製品は少なく、値段も結構します。
パワートラックはプラのフレームに集電端子をとめただけの単純な構造ですが、通常の使用で軸受が摩耗するようなこともありません。ここはぜひプラで動力を自作してみたいと思うようになりました。
【ギアと車輪】
鉄道模型用のギア類はいくつか確保してあるのですが、軸径やモジュールが様々でどれを採用するか決心がなかなかつきませんでした。
▲結局安くて融通がきく汎用品ということで,POWER’Sのブランドのモジュール0.5のプラギアを使うことにしました。
このギアは2㎜の軸を使用します。ただしモーターはアルモデルの1㎜軸のものを使ったので1㎜-2㎜の変換用のパイプかブッシュが必要になります。車輪はカツミ規格のものです。カツミのピボット車輪は2㎜軸に車輪が押し込まれているので、引き抜き工具を用意して車輪を一旦抜いてギアを入れてから車輪をはめなおします。なお、9.5㎜車輪のものはアルモデルから発売されています。Hornbyなども2㎜のピボット車輪を別売していますし、2㎜軸は探しやすいはずです。車輪の引き抜きにはNorth West Short LineのPuller, Press Tool Setを使いました。
【設計】
▲フレームはプラ板とプラ角棒を使って組んでいます。試作のあと再設計したものをPlaPower IIと名付けていますが、ホイルベース20㎜と24.5㎜のものを作りました。モーターとウォーム軸は平ギア8:24で減速し、ウォームは車軸の12歯ギアと合わせていますので1:36の減速比になります。
▲プラバンに4両分の図面を切りこんだところです.
▲フレームは、1㎜板で外枠を組み、2㎜角棒を0.5㎜板で挟むようにして補強しています.車軸は板の溝だけではなく角棒を入れて横方向を支えます。
▲車軸を落とし込んだところ
▲モーターとウォーム軸を支える1mm板は1.4㎜ねじでフレームに固定しています。当初の試作品では図面のミスでなんと0.5㎜もモーター軸がずれていたのですが、ねじ止めの孔を拡大して微調整できることや、ギアの粗さが幸いして走行上支障はありませんでした。精度の低い工作でもなんとかなるものです。
▲ウォーム軸は端に1㎜板でつくったリングをはめて抜けないようにしていますが、簡単なもので何とかなるものです。
▲集電は0.3㎜リン青銅線を用い、真鍮線とT字形にはんだ付けし、フレームにあけた孔を通じて真鍮線をモーター端子の孔に入れるだけで固定しています。
【5年経過して】
このままでは軽すぎますが、走行は予想したほどノイズもでずに快調です。この設計でホイルベース20㎜と24.5㎜のものをそれぞれ2台ずつ製作しましたが,そのまま5年以上になりました.ようやく,これを使った内燃機の製作に取り掛かっており,間もなく完成の予定ですので追ってレポートします.
小さなワークカー Rail Woody [O-16.5mm (On30, O16.5)]
小さな作業車をつくりました.どこかで見たようなかたちかもしれません.
そうです,アルモデルのレールトラックが土台です.前萎みのキャブの形が好ましいですが,シンプルなつくりなので少しいじってみたくなります.
5,6年ほど仮組の状態で放置してありましたが,機械室とキャブを5ミリほどかさ上げして仕上げることにしました.
さて,これは以前につくったものでHO-9㎜の同じくアルモデル・レールトラックを加工したものです.
実物には木造車体に鉄板を貼ったニセスチール車というのがありますが,これはブラスボディーにプラ板を貼り付けた“ニセプラ車”というわけです(笑).Oナローの方もこのプラ貼り工法で進めました.
機械室とキャブは5ミリかさ上げでプラ板を貼り,カーブした屋根をつくります.荷室はプラ枠組みで新たに作りました.
ラジエータの部分はくり抜いて網板をいれてからアルモデルのスペアパーツをカバーに利用,ヘッドライトのブラケットには配線用端子板をつかいました.ヘッドライトはエコーモデルの挽物です.
仮組の状態です.
分解して塗装に入ります.荷室の羽目板は別の色にしたかったので,ここには写っていませんが別の板片を後からはめ込んでいます.
キャブは赤,荷室フレームはウッドブラウン,羽目板はタン,屋根はスエード調ダークグレーの調色缶で吹きました.光沢の強い赤を使ったので艶消しクリアーを全体にかけています.床下は簡単にトビカ黒染めスプレーで済ませ,カウキャッチャーはガルグレーです.
軽くウェザリングをして完成です.木枠模様のワゴン車の呼び名に因んでレールウッディーと称し28番が与えられました.
キャブはブラスにプラ板を貼って木板張りを表現するという,なんとも不思議な工法です(笑).